まちの小売店を経営していると、「この商品、なかなか売れないな……」
「仕入れたときは売れると思ったのに、まだ残っている」
「売れ残りが増えて、次の商品を仕入れる資金が少なくなってきた」
このような経験はないでしょうか。
売れ残った商品は、そのままにしておくと店舗の在庫を圧迫するだけでなく、仕入れ資金の回転を悪くする原因にもなります。
では、売れ残っている商品を売り切るには、どうすればよいのでしょうか。
単純に値下げする方法もありますが、その前にぜひ考えてほしいのが、「以前は来店してくれていたのに、最近来なくなったお客さん」へのアプローチです。
いわゆる「休眠客」の掘り起こしです。
新しいお客さんをゼロから探すよりも、過去に自店で買い物をしてくれたお客さんに、もう一度来店してもらう方が効率的な場合があります。
ここでは、売れ残っている商品を売り切るために、まちの小売店が取り組みたい「休眠客の掘り起こし」について考えてみます。
目次
1 そもそも、なぜ商品が売れ残りが出るのか?
売れ残った商品を見ると、店主はつい、「この商品の良さが分かってもらえない」
「もっと良い商品なのに」
「お客さんの見る目がない」
と考えてしまうことがあります。
しかし、本当にそうなのか。
商品が売れない原因は、一つではありません。
その理由には次のようなものが上げられます。
・お客さんが欲しいと思う商品ではなかった
・商品の存在を知られていない
・商品の特徴やメリットが伝わっていない
・価格と価値が合っていない
・売り場で目立っていない
・購入するタイミングが合っていない
・お客さんの生活スタイルが変わった
・そもそもターゲットとなるお客さんが間違っている
など、さまざまな理由が考えられます。
特に注意したいのが、「店主が売りたい商品」と「お客さんが欲しい商品」は必ずしも同じでは
ないということです。
店主にとっては「良い商品」でも、お客さんにとっては「今は必要ない商品」ということが
あります。
つまり、商品が売れないときは、商品の良し悪しだけを見るのではなく、
「誰にとって必要な商品なのか?」
を考えることが大切なのです。
2 いきなり新規客を探すよりも「休眠客」を見直す
売れ残った商品を何とか売ろうとすると、「新しいお客さんを集めよう」考えがちです。
もちろん、新規客の獲得は大切です。
しかし、新しいお客さんを見つけるには、広告やチラシ、SNS、ホームページなどを使って、
まずお店の存在を知ってもらわなければなりません。
時間も費用もかかります。
そこで、まず見直したいのが過去のお客さんです。
以前はよく来店してくれていたのに、最近は来なくなったお客さんはいないでしょうか。
こうしたお客さんを「休眠客」として考えてみます。
◆休眠客とは
半年前まではよく来ていたが、最近来なくなった 季節ごとに購入していたが、1年以上購入がない 会員登録やポイントカードは残っているが、利用していない 以前は常連だったが、ここ数年来店すなくなったかっての顧客で、「一度はこの店の商品を買ったことがある」お客様です。
つまり、お店も商品もまったく知らない新規客とは違います。
3 休眠客は「最後に来店した日」で分類する
休眠客を掘り起こすときは、顧客名簿をただ眺めるだけではなく、次のように来店の状況を確認
する必要があります。
例えば、
A:半年以内に来店している
まだ完全な休眠客とはいえず、来店間隔が少し空いているだけかもしれません。
B:1年程度来店していない
再来店を促す対象として有力です。
「最近お顔を見ていませんが、お元気ですか?」というような自然な案内ができます。
C:2年以上来店していない
なぜ来なくなったのかを考える必要があります。
引っ越しや生活環境の変化など、さまざまな理由が考えられます。
そのため、いきなり「商品を買ってください」と売り込むより、「またお店に来ていただく
きっかけをつくる」ことを優先した方がよいでしょう。
4 購入回数」を見てみる
休眠客を掘り起こすときは、最後の来店日だけでなく、過去に何回買ってくれたかも重要です。
例えば、
・過去3年間で10回以上購入している
・毎年、季節商品を購入している
・以前は月1回程度来店していた
というお客さんがいれば、優先して声をかけてみましょう。
こうしたお客さんは、過去の購買実績があるため、自店の商品との相性が比較的分かっていま
す。
つまり、
「誰でもいいから呼び戻す」のではなく、「自店の商品を必要としていた可能性が高い人」からアプローチするということがポイントになります。
5「売れ残りがあります」では、お客さんは動かない
休眠客に連絡するとき、注意いなければならないこととして、
「売れ残った商品があります。買ってください」
という伝え方です。
このようないい方では、、なかなかお客さんは動いてくれません。
お客さんからすれば、「お店の在庫処分に付き合ってください」と言われているように感じるからです。
大切なのは、
売れ残り商品そのものではなく、その商品がお客さんにどんなメリットを与えるのかを伝えることです。
例えば、
・これからの季節に使いやすい商品です
・以前お買い上げいただいた商品と組み合わせると便利です
・以前○○を購入された方におすすめの商品です
などです。
売る側の都合ではなく、お客さん側のメリットから伝えることが重要です。
6 休眠客には「特別感」をつくる
以前のお客さんに再来店してもらうためには、単なる商品案内だけではなく、ちょっとした
「特別感」を加えるのも効果的です。
例えば、
・以前のお客さん限定の案内
・期間限定の特典
・少額の割引
・ポイントアップ
・来店プレゼント
・新商品の先行案内
・お取り置きサービス
「○○さんにおすすめ」という個別案内
などです。
ここで大切なのは、値引きだけに頼らないことです。
「自分のために案内してくれた」
「以前買った商品を覚えてくれていた」
という感覚が、お客さんの再来店につながることがあります。
まちの小売店だからこそできるサービスです。
7 連絡方法はLINEやSNSも活用する
休眠客への連絡方法は、これまでは、DMや電話が中心でしたが、現在は、
・LINE公式アカウント
・メール
・Instagram
・Facebook
・SMS
など、さまざまな方法があります。
特にLINEは、登録してもらったお客さんに対して、新商品やキャンペーン、イベントなどを知らせる手段として活用できます。
ただし、毎回「セールです」「買ってください」という内容では、通知を見てもらえなくなります。
例えば、
・今週入荷したおすすめ商品
・季節のおすすめ
・商品の便利な使い方
・店主が選んだおすすめ商品
など、役立つ情報と販売情報を組み合わせることが大切です。
8 売れ残り商品を「新しい見せ方」で販売する
休眠客へのアプローチと同時に、店頭での見せ方も変えてみましょう。
売れ残っている商品を、いつまでも同じ場所に置いていてはいけません。
例えば、「まだあります」ではなく、
・今の季節におすすめ!
・こんな使い方ができます
・店主おすすめの商品
など、商品の価値を改めて伝えます。
場合によっては、単品販売ではなく、「関連商品とのセット」として提案するのも方法です。
「この商品を買ってください」ではなく、「この商品があると、こんなことができます」
と伝えることで、商品の見方が変わることがあります。
9 それでも売れない商品は「なぜ売れなかったのか」を記録する
売れ残った商品を処分して終わりではなく、その商品は次の仕入れに役立つ貴重なデータに
なります。
例えば、
・この価格帯は売れにくかった
・この色は動かなかった
・このサイズは余った
・この季節の商品は仕入れ過ぎた
・この商品は説明すると売れた
といったことを記録しておきます。
売れ残りは失敗ではありますが、そこから学ぶことで、次回の仕入れ精度を上げることができます。
小さな店では、一度の仕入れミスが資金繰りに影響することもあります。
だからこそ、
「売れ残った商品をどう売るか」だけでなく、「なぜ売れ残ったのか」を考えることが重要
です。
10「売れ残り処分」ではなく「お客さんとの関係を取り戻す」
売れ残った商品を見ると、どうしても、「早く処分しなければ」という気持ちになります。
しかし、そこで大幅な値下げをする前に、もう一度考えてみましょう。
その商品を必要としているお客さんが、まだいるかもしれません。
そして、そのお客さんは新規客ではなく、以前あなたのお店を利用してくれていたお客さんの中にいるかもしれません。
だからこそ、
・売れ残り商品
↓
・その商品を必要とするお客さんを考える
↓
・過去の顧客から対象者を探す
↓
・休眠客に再来店を案内する
↓
・商品を提案する
↓
再びリピーターになってもらう
という流れを創っていくことができます。
11 まとめ
売れ残っている商品を売り切るために、単純に値下げするだけでは、利益を減らしてしまう可能性があります。
まず考えたいのは、「この商品を欲しいと思ってくれるのは誰なのか?」ということです。
そして、その候補として忘れてはいけないのが、過去に自店を利用してくれた「休眠客」です。
購入回数や最後の来店日などを参考に対象者を絞り、DMやLINEなどを使って再来店を促してみましょう。
その際には、単なる売り込みではなく、
・以前ご利用いただいたお客様へ
・あなたにおすすめの商品があります
・再来店のお礼をご用意しました
というように、お客さんにとってのメリットや特別感を伝えることがポイントです。
売れ残り商品を売ることだけが目的ではありません。
休眠客が再び来店してくれれば、その商品を購入してもらうだけでなく、そこから新しい買い物
が生まれる可能性があります。
そして何より、「一度離れてしまったお客さんを、もう一度お店のファンにする」
ことにつながります。
小さなお店にとって、新規客を集め続けることは簡単ではありません。
だからこそ、まずは自分のお店を以前利用してくれたお客さんを、もう一度振り返ってみること
から始めてみてはいかがでしょうか。
売れ残り商品は、単なる「在庫」ではありません。
眠っているお客さんを呼び戻すきっかけになるかもしれません。

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