補助金事業が完了すると、実施して事業の実績報告書(完了届け)を作成し、実施主体の自治体等へ提出します。
言うまでもないことですが、これを提出して審査を経て適切であると認められない限り補助金の交付を受けることはできません。
実績報告は、実績報告書の他に実施を裏付ける各種の証拠書類が必要で、特に事業費に関わる書類は事業種別によってかなり膨大になることが有り、これを取り揃えるのにかなりの手間が必要になります。
これらの添付資料をもれなく整理しようとすれば、事業実施中から適切に資料管理を行ってゆくことがなによりも大切です。
以下に、小売事業者の補助金事業の実績報告書作成と添付資料整理のポイントについて解説します。
<参考> ⇒ 補助金事業の交付申請書作成のポイント
目次
1 実績報告書の作成
実績報告書は、事業完了後、決められた期間内に所定の様式にまとめ、添付書類を添えて提出しなければなりません。
提出時期は、各自治体により様々ですが、多くの場合、交付要綱で事業完了後14日から20日程度と定められています。
ここでは、ある小売商業団体が行った補助金事業の実績報告書を例に説明します。
実績報告書は、
①実績報告書(鑑)
②経費内訳書
③事業内容及び事業成果
④成果報告書
からなっており、委託を行った場合は別に委託調書の作成を求められることがあります。
また、商店街などで商品券事業を行った場合は、
・ 加盟店一覧
・ 成果品
・ 商品券の販売実績がわかるもの
・ 商品券の回収実績がわかるもの
を別に求められます。
その他に上記の書類の添付資料として事業の実施状況や成果を裏付ける資料を求められます。
(1)実績報告書(鑑)
①上段の交付決定番号は、交付決定書に書かれている番号を記入します。
・変更承認申請を行い、承認を得ている場合は、変更承認決定番号
②「補助事業の種類」は当初申請書と同じ事業種類を記入します。
③総事業費は当該事業で要した総経費額になります。
・変更承認申請を行い、承認を得ている場合は、変更金額になります。
④補助金額は交付決定書の交付金額になります。
・変更承認申請を行い、承認を得ている場合は、変更後の交付決定額
⑤事業期間は、当初申請時に設定した期間としますが、先に事業遅延報告を提出し、承認が得られている場合はその期間とします。
⑥添付資料については、後述する経費内訳、実施事業の内容になります。
(2)経費内訳
①総事業費には実施した事業に要した経費を経費別に計上します。
・当初申請時と実際に要した経費を併記
②内訳には、種別、数量単価などの明細を記載します。
③補助金申請額は、当初の交付申請額と実績額を併記します。
・金額は、決められた補助率を乗じた額で千円未満切り捨ての千円単位が多い
④収入内訳にはこの事業に要した経費を種別ごとに記載します。
・総事業費から補助金額を差し引いた額が自己資金
(3)実施事業及び事業成果
①事業内容及び具体的な成果
・実施した事業内容を項目別に記載し、それぞれの謡的な成果として、当初目標(KPI)
とした数値に対する達成度をパーセントなどで表示する。
※「KPI」とは、組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標のこと
・当初設定目標が新規顧客の獲得人数、リピーター確保率など
(4)成果報告書
事業成果報告書は、交付申請時に設定した目標値(「KPI」)に対し、その達成度を報告するもので、上表の「実施事業及び事業成果」の事業成果と同じ内容になります。
<目標値> <達成状況>
・新規顧客の獲得 200人 → 250人
・リピーターの確保 80% → 85%
などになります。
達成状況が目標値に遠く及ばない場合は、補助金交付先の自治体などから、事業そのものの効果について疑問符が打たれ、何らかの改善措置を求められる場合があり、事業者は事業実施中から事業成果の目標値達成のための注意を怠ってはなりません。
2 添付書類の整理
事業実績報告書に添付する書類は、補助対象事業が適正に執行されたことと、補助金が適正に支出されたことを証明するためのもので、事業内容によるが下記の証拠書類を添付する必要があります。
① 領収書、請求書
② 帳簿類
③ 成果品等
④ 事業行程がわかる写真等
これらは、事業実施中から実績報告書への添付が必要なことを念頭に置いて、その都度整理に心がけておくことが大切です。
(1) 領収書、請求書
種類、品目別に取り揃えます。
・発行日付、、発行者名、印、消費税の記載が必要
(2) 帳簿類
事業の内容にもよるが、物品等の仕入れに関する伝票類、参加店舗名簿など
(3) 成果品等
事業により得られた成果などがこれにあたります。
・来客数、売上額など
(4) 事業行程がわかる写真等
事業実施中の写真、チラシなどの広告物など
3 事業実績報告書の提出
上記の書類、添付資料が揃えば、実績報告書を提出します。
最近では、かってのように自治体の担当職員との面談による書類の内容確認協議の機会が減り、多くはメールによるデータのやりとりになり、提出もデータでの提出が多くなってきています。
担当職員は送られてきたデータをチェックし、その都度修正事項や指摘事項を記入し、返送してくるというスタイルに変わってきました。
データでの提出となると、従来の事業者代表者の印も不要ということになります。
これは、当初の交付申請書提出時も同じ扱いで、大変便利なシステムと言えます。
データのやりとりになると、添付資料はすべてPDFなどによりデータ化する必要があります。
資料によっては、データ量が大きくなり、一度のメールでは贈りきれない場合があり、こんな時には
・データを分割
・圧縮する
などの処置が必要になります。
4 まとめ
補助金事業の実績報告書の作成については、事業成果として事前に設定した事業成果の目標値をクリアーしているかどうかということと、事業成果を裏付ける添付資料をうまくまとめられるかがポイントになります。
事業実施中に常にこれらのことを念頭に置いて事業の進捗の管理を行ってゆくことがポイントになります。
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