小売事業者の補助金事業実施時のポイント

補助金事業の交付申請書が受領されると実施自治体等から交付決定の報せが届きます
これで、申請者は事業の実施を始め、事業完了後に事業実施報告書を提出してそれが承認されれば補助金の交付を受けることができます。
ところが、実際に事業を始めてみると当初の事業計画通りに進捗するとは限らず、大幅な経費の増大や事業の進捗の遅れに伴う事業の縮小など、様々な想定外のトラブルに見舞われることが度々起こります。
このようなときに、どのように補助金事業の交付元である自治体等に対して対応すればよいかをまちの小売事業者についてのケース別にまとめてみました。

1 補助金交付決定前に事業に着手しなければならない場合

多くの補助金交付要綱には、「補助金事業は交付決定前に事業を開始してはならない」としています。
ただし、「やむを得ない事由により、補助金の交付の申請をする日から交付決定前までに当該事業を実施しようとする場合」という特例事項が設けられていることがあります。
これによりますと、「事前着手届」を提出し、それが承認されれば交付決定前に事業を開始することができます。
ただし、補助金交付申請前に着手していた事業は基本的に交付対象にはならないので注意が必要です。
では、どのようなケースが事前着手届けの対象になるのでしょうか。
例えば、
 ●商店街などで年間スケジュールの中で、特別セール期間が決まっている
 ●セミナーや講習会の会場、講師の空き日程がその日しかない
 ●委託業者の日程の都合がつかない
などがありますが、これらを事前着手届けの理由書に記載し提出することになります。

2 事業の完了時事が大幅に遅れそうな場合

補助金事業を行っている中で、予期せぬトラブルに見舞われ、当初の計画の完了時期が大幅に遅れる場合があります。
このようなことが予想される場合は、なるべく早い時期に申請先に申し出を行い、そこの指導を受けます。
自治体などでは、「補助事業遅延等報告書」により、措置を行ってくれる場合があります。

下記にある自治体の「補助事業遅延等報告書」の書式例を掲げます。

「補助事業遅延等報告書」の例

 「補助事業遅延等報告書」による申し出内容
  ① 補助事業の進捗状況
  ② 補助事業に要した経費
  ③ 遅延の内容及び原因
  ④ 遅延に対する措置
  ⑤ 今後の遂行及び完了の予定

遅延報告の内容で、特に重要なのは、当該補助事業での当初計画の事業が完全に完了する時期がいつになるかがポイントで、自治体の予算年度内に完了しそうにない場合は、おおよそ3月中旬までに完了している部分のみで一旦補助金の精算処理が行われる可能性が高く、残りの事業についての措置は自治体の判断によることとなります。

3 事業実施中に資金繰りが苦しくなった場合

補助金事業を実施中に資金繰りが苦しくなる場合があります。
このようなとき、申請した補助金事業によっては、補助金の概算払いを受けることができる事業があります。
概算払いとは、事業途中に補助金交付決定額の範囲内で一定の割合(多くは1/2程度)で補助事業費の一部が事業の完了を待たずに支給されるものです。
概算払いを受けるには概算払いを必要とする理由などを記した「概算祓い請求書」を提出し、その承認を受ける必要があります。

4 事業の内容に変更が生じる場合

補助金事業の実施中に、これはできないとか、この代わりにこれを行おうなどの当初予定していた事業の内容に変更が生じる場合があります。
事業の内容に変更が生じれば、同時に事業費にも変更が生じます。
このような場合、交付申請時書の事業目に外れるものでない場合に限り、「補助事業の内容変更の承認申請書」を提出し、承認を受けることにより事業内容を変更することができます。
また、この場合、当然事業費も変更になるので、合わせて事業費の変更も行います。
ただし、軽微な変更の場合は変更承認の必要がないのが普通ですが、軽微な変更の範囲がどの程度のものなのかは、事業によりまちまちの場合があるので、交付要綱を確認するか直接自治体の担当係員に問い合わせするのがよいでしょう。

変更承認書の記載内容は、
 ① 変更の理由
 ② 変更の内容
 ③ 事業費の変更内訳
 ④ 変更収支予算

となります。
添付資料として
 変更の内容のわかる見積書、委託契約書の写し
が必要です。

下記にある自治体の「補助事業の内容変更の承認書」の例を掲げます。

「補助事業の内容変更の承認申請書」の例

「補助事業の内容変更の承認申請書」の例

5 まとめ

補助金事業の実施中には、事業によっては当初想定していなかったことが起きるのが普通であり、それに伴って事業内容と事業費の変更が生じます。
軽微な変更であるならまだしも、中には事業そのものを中止しなければならない事態も起こりえます。
このような事態が生じする恐れがある場合は、申請先である自治体等に速やかに報告・相談し、善後策を一緒に考えるのが何よりも重要です。
これをいつまでも先延ばしにすることは、後の事業完了届けや実績報告時に満足な資料が揃わず、最悪の場合、補助金の交付を受けることができない場合も生じます。
このような不測の事態を避けるためにも、事業実施中は常に進捗状況などに気を配り、異常が生じそうになれば、その時々で申請先である自治体等の指示を仰ぐのが最も大切なことです。
また、言うまでもないことですが、事業実施中は当初計画時に設定した成果目標値をクリアするためにあらゆる努力を傾けることが必要です。