仕事のデジタル化・DXを推進するための支援策/IT導入補助金の概要

いま、国を挙げて「DX」推進への取り組みが叫ばれています。
大企業ならともかく、中小企業やまちの小規模事業者にとっては、自社・自店にとってDXとは何をどうすればいいのかがようやく分かりかけてきた段階です。
DXを推進するためには、とにもかくにもそれを整備するための資金が必要ですが、それを工面するのに四苦八苦というのが実情です。
この資金調達を支援するのが「IT導入補助金」で、名前だけを見ると大掛かりなITに関する設備のようなものを導入しなければならないように思えますが、国の案内チラシをみると、例えばインボイス対応のための会計ツールや勤怠・労務管理ツールの導入など小規模事業者でもエントリーできる項目が見られます。

ここでは、「IT導入補助金」についての内容、申請の方法などを「IT導入補助金ポータルサイト」の情報をもとに抜粋してまとめました。

次のリンクを参照しながら読み進めてください。

【IT導入補助金ポータルサイト】
⇒ https://it-shien.smrj.go.jp

【案内用チラシ】 ⇒ IT導入補助金チラシ(PDF)

1 [IT補助金]の内容

次のリンクを参照してください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/about

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。

補助金申請者(中小企業・小規模事業者)は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要となります。

(1) IT導入支援事業者とは

ITツールの導入により生産性の向上を目指す中小企業・小規模事業者と共に事業を実施するパートナーとして、中小企業・小規模事業者に対するITツールの説明、導入、運用方法の相談等のサポート、及び補助金の交付申請や実績報告等の事務局に提出する各種申請・手続きのサポートを行う事業者です。新たに登録する場合は事務局登録申請を行い、事務局及び外部審査委員会による審査の結果、採択される必要があります。

(2) 補助対象事業者

中小企業・小規模事業者が対象となります。
小売業については、資本金5000万円以下、従業員50人以で、商業・サービス業における小規模事業者とは、従業員5人以下を指します。

(3) 補助対象と補助金

補助金交付申請は、自社・自店の目的に応じた5つの類型から申請することができます。

①通常枠
中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。

詳細は次のリンクをご覧ください 
⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/

◇補助対象ITツール
 ・供給、在庫、物流等管理用ツール
 ・総務、人事、給与、人事等管理用ツール
 ・顧客対応等販売支援用ツール

◇補助金額
 ・補助率 1/2以内
 ・補助金額
  1プロセス以上  5万円以上150万円未満
  4プロセス以上  150万円以上450万円以下

②インボイス枠(インボイス対応類型)
中小企業・小規模事業者が導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト、PC・ハードウェア等の経費の一部を補助することで、インボイス制度に対応した企業間取引のデジタル化の推進をサポートします。

 詳細は次のリンクをご覧ください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbase/

◇補助対象ツール
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト及びPC、ハードウエアー等

◇補助金額
◯インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト
 ・補助率 3/4以内(中小企業) 4/5以内 (小規模事業者) 2/3以内
 ・補助金額 50万円以下 50万円超〜350万円以下
◯PC・ハードウェア等 (PC、タブレット、、レジ、券売機等)
 ・補助率    1/2以内
 ・補助金額
  PC、タブレット 10万円以下
  レジ。券売機等 20万円以下


③インボイス枠(電子取引類型)
取引関係における発注者か、インホイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者に対して無償てアカウントを供与して利用させる場合に、その導入費用の一部を支援するものです。

  詳細は次のリンクをご覧ください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_invoice/

◇補助対象
インボイス制度に対応した受発注システムの導入

◇補助金額
 補助率   2 /3以内 (中小企業、小規模事業者) 1/2以内(その他事業者)
 補助金額   350万円以下 (下限なし)



④セキュリティ対策推進枠
中小企業・小規模事業者等がサイバーインシデントにより事業継続困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約や価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減するための支援を行います。

詳細は次のリンクをご覧ください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/

◇補助対象
「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを導入する際のサービス利用料(最大2年分)を補助するものです。

◇補助金額
 補助率     1/2以内
 補助金額    5万円以上100万円以下

⑤複数社連携IT導入枠
複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入することにより、地域DXの実現や、生産性の向上を図る取り組みに対して、複数社へのITツールの導入を支援するとともに、効果的に連携するためのコーディネート費や取り組みへの助言を行う外部専門家に係る謝金等を含めて支援するものです。

詳細は以下リンクをご覧ください。 
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_multiple_companies/

2 交付申請から交付決定までの流れ

交付申請を行い交付決定を受けるまでの流れは次のようになります。

詳細は次のリンクをご覧ください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/

(1) 公募要領等の確認

本サイトや公募要領を読み、補助事業について理解を深めます。
 公募要領 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/download/#basic

(2)「gBizIDプライム」アカウントの取得、「SECURITY ACTION」宣言の実施

◯「gBizIDプライム」アカウントの取得
 「gBizID」は、1つのID・パスワードで、様々な行政サービスにログインできるサービスの
 ことで、これの取得が必要になります。
◯「SECURITY ACTION」とは、交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になります。この宣言は、中小企業・小規模事業者のみなさま自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度で、「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言することを要件としています。交付申請作成時に宣言済アカウントIDの入力が必要となります。

(3)「みらデジ経営チェック」の実施

IT導入補助金を活用して単にITツールを導入したとしても、それが自社の課題に適していなければ経営改善を図ることはできません。まずは現在自社がどのような課題を抱えていて、デジタル化の進捗状況を踏まえ何に取り組むべきなのかを把握することが重要です。中小企業庁の「みらデジ」は経営課題の把握、さらにITに精通した専門家への相談を支援する事業です。
「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録し、「経営チェック」の実施が必要となります。「みらデジ」は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する中小企業・小規模事業者のみなさまの経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度となります。

詳細は下記のリンクをご覧ください。
 ⇒ https://www.miradigi.go.jp/info/240129_1/

(4)「IT導入支援事業者の選定」「ITツールの選択」(事前準備)

補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。

ツールの検索は下記リンクをご覧ください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/search/

 -以降からはIT事業者がサポートします。-

(5) 交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)

IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。その後、中小企業・小規模事業者等の交付申請は、以下の流れで行います。

 詳細は次のリンクの交付申請の手引きをご覧ください。
  ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/download/#business

複数社連携IT導入枠については、申請フローや交付決定後の手続きが異なるため、以下のリンクで確認します。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/r5_koubo_fukusu.pdf。

(6) 交付決定

交付申請内容の審査が完了すると、交付決定通知がされ、通知を受けた申請者は補助事業者となり、補助事業を開始することができます。 

3 事業の実施から事業実施効果報告までの流れ

交付申請が完了し、事務局から「交付決定」の通知を受けたら補助事業を実施します。

詳細は次のリンクからご確認ください。
 ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/

(1) 補助事業の実施

事業の実施はまず、ITツールの発注・契約・支払いから始めます。
交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けることができません。

(2) 事業実績報告

補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証拠書類を事務局に提出します。

(3) 補助金交付

事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになります。その内容を確認した後に補助金が交付されます。

(4) 事業実施効果報告

事業実施効果報告は、定められた期限内に補助事業者が『申請マイページ』より必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て、提出します。

4 公募時期について

IT導入補助金の公募は毎年度複数回行われますが、2024年度の公募時期と各スケジュールは1次締切は3月15日を皮切りに、現在次のように公表されています。

 ・通常枠                6次締切  8月23日
 ・インボイス枠(インボイス対応類型)  11次締切 8月23日
・インボイス枠(電子取引類型)     6次締切  8月23日
・セキュリティー推進枠         6次締切   8月23日
 ・複数社連携IT導入枠        3次締切   8月23日

それぞれの締切日、交付決定日、事業実施期間、事業実績報告期限など詳細については次のリンクをご覧ください。

事業スケジュール ⇒ https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/

5 まとめ

 IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する国が設けた補助金制度です。 
それだけに申請時、事業実施時、事業終了後の実績報告など各段階における手続きや運用面は、それなりに複雑ですが、ITベンダー・サービス事業者が代行するなど各段階において手厚いフォローが行われる仕組みになっており、気寝られた手順通りに進めてゆけば問題なく進捗するものと思われます。

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