小規模小売店がキャッシュレス導入で失敗しないための注意点と最適な選び方

キャッシュレス決済とは、現金以外の方法で決済を完了させることを言います。
キャッシュレス決済といえば先ずクレジットカードが挙げられますが、最近では電子マネーやQRコード決済などさまざまなサービスがあります。

新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけとして、キャッシュレス決済を導入する店舗が増えていますが、それでも日本のキャッシュレスの普及率は2024年度現在で42.8%のとどまっており、韓国、中国、欧米各国に大きく遅れをとっているといわれています。

キャッシュレス決済は、使ってみると
現金を持ち歩かなくても良い
・支払手続が簡単・迅速にできる
・ポイントや割引などの特典が得られる
など、慣れてしまえば消費者にとってこれほど便利な買い物方法はなく、今後、ますます普及することは間違いのないところです。

一方で、店側としてもお客さんのキャッシュレスによる買い物動向に合わせるべく、早急にキャッシュレス決済の導入に踏み切り、お客さんを逃がさないようにしなければなりません。

それでもいざキャッシュレス決済導入となると、

・仕組みがよくわからない
・手数料が高い
・メリットが実感できない
・端末機設置などの初期費用が必要
・入金サイクルが遅い
・通信費や消耗品などの費用が必要

などのデメリットばかりに目が行き、なかなかキャッシュレス決済導入に踏み切れないお店も数多くあります。

ここでは、これからキャッシュレス決済導入をとお考えのまちの小売店などの「小規模小売事業者店」向けにキャッシュレス決済導入についての不安点を解消するために準備や導入方法、注意点などを紹介します。

小規模小売事業者のキャッシュレス導入の手順と手数料など】

お店がキャッシュレスを導入すると決めたら、どのような手順で進めればよいのかを説明します。
 まちの小売店などの小規模小売事業者がキャッシュレスを導入する場合の手順は次の通りになります。

 1.まずは 導入目的を決める
 2. 対応したいカードなどの決済方法を選ぶ
 3. 任せられる決済代行会社を選ぶ
 4. 使いやすい決済端末機は
 5. 決済代行会社への申し込み・審査・契約
 6. 機器の設置・アプリ設定は決済代行会社に
 7. 顧客などに運用開始を知らせる

以下に順を追って説明します。

1. まずはキャッシュレス導入の目的を決める

小売店の場合、下記の目的によって選ぶサービスが変わります。

・会計をスムーズにしたい ⇒ QR決済・タッチ決済
・顧客単価を上げたい ⇒ クレジット・電子マネー
・若年層の来店を増やしたい ⇒ PayPay・LINE Pay など

2. 対応したいカードなどの決済方法を選ぶ

主な決済方法は下表のとおりです。
ここでいう「決済方法」とは、お客様が店舗で現金を使わずに支払いを行う手段のことで、キャッシュレス導入の際には一般に「決済ブランド」と呼ばれています。

現在、広く知られている決済ブランドは下表になります。

種別主な決済方法特徴
クレジットカードVISA、MasterCard、JCBなど幅広い世代が利用
デビットカードJ-Debit、銀行系デビットなど即時引き落とし。現金感覚で使える
電子マネーSuica、ICOCA、PASMO、iD、QUICPayなどタッチでスピーディー
QRコード決済PayPay、楽天ペイ、d払い、LINE PayなどスマホでQRを読み取る。導入コストが低い
スマホ決済(非接触)Apple Pay、Google Payなど新しい層の利用が増加中
後払い(BNPL)atone、Paidy、メルペイ後払いなど消費者が後日まとめて支払う新しい形

小規模小売事業者が優先して導入すべき決済方法として次のものがあげられます。
導入優先別に記します。

① クレジットカード(タッチ対応)
 ―売上に直結する最重要手段―
 小売店では VISA・Mastercardに対応していることが重要

・利用率・客単価の両方で最強
・単価が高い商品ほどクレカ利用率が上がる
・観光客(インバウンド)はほぼ必須で使用
・導入しない場合、販売機会ロスが最も大きい

② 交通系IC(Suica, ICOCA, PASMO, iD、QUICPay)
 ―即時決済・少額購入に強いー

・小売店のレジ回転が速くなる(最速の決済手段)
・若年層・通勤客は利用率が高い
・手数料も比較的低め(サービスにより変動)

③ QR決済(PayPay, 楽天ペイ、d払い、LINE Pay)
 ―小規模店との相性がよいベーシックなQR―

・スマホユーザーの利用頻度が圧倒的に高い
・初期費用がほぼ0
・導入審査が通りやすい
・加盟店数トップで利用客が多い

④ iD / QUICPay
・Suicaに次いで高速のタッチ決済
・スマホのApple Pay / Google Payユーザーが使いやすい
・単価がそこそこ高い 店舗と相性良い 

⑤ Alipay / WeChat Pay
・中国観光客が多いエリア・商店街では導入する価値大
・インバウンドの売上がある店は優先順位が上

3. 任せられる決済代行会社を選ぶ

決済代行会社とは加盟店契約を結ぶ契約会社のことで、お店とカード会社・QR会社などの間に入り、契約や入金を一括で行う会社のことを言います。
本来は、お店がレジットカードや PayPay などを導入する場合、それぞれの会社と個別に契約する必要があるが、これには大きな労力と手間が必要になります。
これを決済代行会社と契約すれば、1つの契約だけで、複数の決済手段を一気に契約・導入することができるというわけです。

ここでは、店舗がキャッシュレス導入に際して、決済代行会社と契約することを前提とした内容で説明します。

決済代行会社の役割

・お客さん がスマホやカードで支払い
・決済代行会社が決済情報を処理して、金額をお店の口座に入金  
・お店の口座には手数料を引いた残りが振り込まれる

主な決済代行会社

種類会社名・ブランド特長
クレジット/電子マネー対応型Square、Airペイ、STORES決済、楽天ペイマルチ端末でクレカ・電子マネーにまとめて対応できる
QRコード決済型PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払いスマホ1つで簡単導入。QRコードスタンドを置くだけのタイプもある
非接触(スマホ)決済対応型Apple Pay、Google Pay、iD、QUICPayタッチするだけで支払い完了。専用端末や対応リーダーが必要
オンライン決済型(EC向けStripe、PayPal、BASE、Shopify Paymentsネットショップでの支払い処理に使われる

 

※「非接触型(スマホ決済)」に対応したい場合
スマホをかざして支払う「Apple Pay」「Google Pay」「iD」「QUICPay」などに対応するには、以下のような決済サービス会社を通して導入します

Airペイ→ Apple Pay / iD / QUICPay / 交通系IC対応
・Square → 非接触決済(NFC)端末でApple PayやGoogle Pay対応

・STORES決済 → NFCリーダー付き端末でタッチ決済対応

これらの会社が、お店と各カード会社・スマホ決済ブランドとの間を取りまとめてくれます。

決済代行会社を選ぶ時のポイント 

① 小規模店は 「お客様が使いたいものが使えるか」 が最も重要
・若者が多い → PayPay/LINEPay/クレカ
・中年〜高齢者 → クレカ/交通系電子マネー
・観光客 → VISA/Mastercard 必須、Alipay/WeChat Payがあるとなおよい

② 初期費用・月額費用の有無を確認する
・小規模店では、初期投資を抑えるのが第一
以下のような条件の会社を選ぶとリスクが少なくなります。

サービス名初期費用月額費用
Square無料(端末は7,980円〜)無料
STORES決済無料無料 中小支援プラン月額3300円あり
Airペイ無料(条件あり)無料
stera Pack無料~(端末条件あり)無料
atone(後払い)無料無料

・売上/決済件数が 少ない店舗では、初期費用・月額固定費を「0円」に抑える方がコスト負担が少なくなります。
  

③ 決済手数料はどの程度か
中小・小規模店舗・個人事業主における、国内の決済代行会社別のキャッシュレス決済手数はあくまで“目安”であり、実際には業種・取扱高・決済手段・契約条件によって大きく異なります。

決済代行会社の手数料とは

・各カード会社などとの契約
・入金管理
・端末提供
・サポート
 

 決済手数料とは、これらをまとめて請け負うための「決済ブランド手数料+決済代行会社の上乗せ手数料」であり、契約店舗が支払う最終的な手数料になります。
 その多くは、決済代行会社が決済ブランド手数料を内部でまとめた「パッケージ料金」となっており、一つの料率にまとめたものです

決済手数料の目安

・クレジットカード決済
 おおよそ 2%〜4% 程度が標準的
 具体的には「一般小売・飲食店」で3〜5%というのが目安

・QRコード決済
 2.0〜3.5%程度というケースが多く、小規模店舗向けプランでは1.98%〜2.5% 
 といった低めの料率になっている

・中小事業者・小規模店舗向けの特別プラン
 クレジットカードで 1.98%~2.5% 程度

現在、各決済代行会社が公表している決済手数料は下表のようになります

サービス名決済手数料(例)
Square年間キャッシュレス決済額が3,000万未満の中小企業向けプログラム適用時:Visa/Mastercard 等主要カードで 2.5% それ以外の他決済手段では 3.25%から
STORES中小支援プラン(年間キャッシュレス決済額3,000万円未満等の条件)において、クレジットカード:Visa/Mastercard で 1.98%、JCB/Amex/Diners/Discover で 2.38%。 その他通常プラン・EC利用ではクレジット/電子マネー/QRなどで 3.24%〜
Airペイ決済方法により異なるが、0.99%~3.24% カード手数料中小事業者ディスカウントプログラム適用時で 2.48%
stera pack「スモールビジネスプラン」では Visa/Mastercard で 1.98%~、スタンダードプランでは Visa/Mastercard で 2.70%
atone(後払い)「プレミアムプラン」で 2.5%から 「スタンダードプラン」では3.5%~

④ 対応決済ブランドが多いか
お客様がよく使う決済手段をカバーできているか確認します。
決済代行会社によって多少異なるが、一般的に対応しているブランド・決済手段は
次の通りです。 

・クレジットカード: Visa、 Mastercard、 JCB、 American Express、 Diners Club など
・電子マネー: Suica、 WAON、 nanaco、 iD 等
・QRコード・バーコード決済: PayPay、 LINE Pay、 d払い 等。
・後払い決済・コンビニ/口座振替/キャリア決済など:「あと払い」方式、キャリア決済
 (携帯料金合算払い)なども多くの代行会社がカバーしています。

注意すべきポイント

導入検討時には単に「クレジットカード対応」と言うだけでなく、以下の点を確認すると安心です。
ブランド数が多いほど、利用者の選択肢が広がり “支払いを断られる” リスクが低く
なります。

・自店のお客さまが使いたいブランドが含まれているか
・電子マネー/QR決済/キャリア決済など、クレジット以外の支払い手段も含まれて
いるか
・オンライン(EC)/実店舗(対面)それぞれで使えるブランドが異なる場合が
あるので、その区別が明確になっているか
・海外カード(海外発行Visa/Master等)による海外決済対応の有無

⑤ 入金サイクルが早いか
入金サイクルとは、加盟店がキャッシュレス決済を受けた後、決済代行会社やカード会社の
締め・支払処理を経て、加盟店の銀行口座に売上代金が振り込まれるまでの
「締め日→入金日」の期間および「入金頻度(何回/月)」のことです。

「月末締め/翌月末入金」などが典型例です
・同じサービスでも「翌営業日入金」「週1回入金」「月2回入金」など選べるものも
あります。
入金サイクルが短い(早い)ほど、手元キャッシュ(運転資金)の回収が早く、
店舗にとって資金繰りがしやすくなります

決済代行会社別の入金サイクル・頻度は下表のようになります
併せて振込手数料の有無などについても記載しています

サービス名入金サイクル振込手数料備考
Square最短翌営業日無料(三井住友銀行の場合)他行は10万円未満で振込手数料発生(例:220円)
STORES月6回 or 月1回(選択可)無料売上が確定してから3営業日程度で入金
Airペイ月6回 or 月3回無料決済日から最短3営業日後に入金
stera pack月1回(15日締め翌月末払い)無料銀行振込手数料なし
atone月1回(末締め翌月末払い)無料EC・実店舗後払い対応、NP後払いと同様のサイクル

⑥ 小規模小売店舗にとっての最適な決済代行会社はどれか(参考)
以上から、小売事業者のキャッシュレス導入に適している決済代行会社どれかについて、選定時におけるポイントとそれを踏まえたうえでの候補を上げます。

◆選定時におけるポイント

小規模小売事業者特有の事情である資金・スタッフ数・手続きの手軽さなどを考慮して
次の項目をチェックします。

① 初期費用、月額費用の有無と金額
導入時に高額な機器を購入したり、毎月固定費が発生したりするのは小規模店舗には大きな
負担になります。
決済代行会社には、初期費用や月額費用が無料のものや定額に抑えたものもあるので、
これらを候補にします。 

② 決済手数料率
決済手数料は、売り上げから差し引かれるので手数料率が低ければ低いほどメリットが
大きくなります

③ 入金サイクル
キャッシュフローに余裕がない小規模小売店では、売上が決済後すぐに入金されるか
どうかが大きな店舗経営上のポイントになり、早く入金されることは大きなメリットに
なります。

④ 対応決済手段の種類
店舗の種類、客層などにもよるが、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など
複数手段に対応しているかが大きなポイントになります

⑤ 端末機の使いやすさ
レジ周りのレイアウト、従業員の人数等によるが、端末の設置や操作が簡単であることが
必要です

⑥ 導入、審査、契約条件
契約までの審査や手続きがあまりにも煩雑過ぎると導入までの期間が長くなります
契約期間が長期にわたる条件では、他システムへの転換ができなくなります

小規模小売事業者に適している決済代行会社

 下記は、小売事業者視点で「使いやすさ」「コスト」「導入スピード」でバランスが現時点で
 最も良いもの
をピックアップしています   
 店舗の規模、種別、客層など様々な条件で最適度は変わってくるので、あくまでも
 「参考」としてご覧ください

① Square
-導入・コスト面でバランス良-
・初期費用・月額固定費が抑えられるプランがあり、小規模店舗/個人事業主に
推奨されている
入金サイクルが短め(例:最短翌営業日の入金)審査・導入スピードが早く、
「すぐにキャッシュレス決済を始めたい」店には良い選択

② STORES
 -手数料・端末コストを抑えたい場合に有利]-
・小規模・中小支援プランで「手数料1.98%~」という業界でも低めの水準を提示している
・QRコード・電子マネー・クレジットカードなど幅広い決済手段に対応しているので
 来店客に合わせて決済手段を選びやすい
・端末代金が無料/月額0円というプランも紹介されており、導入ハードルが低い

③ GMOペイメント
 -信頼性・機能重視―
・国内大手の決済代行会社で、導入実績・安心感が高い
・クレジットカード・コンビニ決済・キャリア決済・電子マネーなど多様な決済に対応
・実店舗だけでなくEC・ハイブリッドな店舗運営にも有効

4. 使いやすい決済端末機は 

決済端末機とは、お客様がクレジットカードや電子マネー、QRコードなどで支払う際に利用する読み取り機器のことです
端末機は、決済代行会社(例:Square、Airペイ、STORESなど)を通じて導入します

小規模公R事業者における決済端末機選定のポイントは次の通りです

① 多くの決済ブランドに対応しているか
 1台で複数の決済ブランド・手段に対応」している「マルチ端末」が最適

② 自店のレジ周りの設置環境に会っているか
「据え置き型」「モバイル/ポータブル型」「スホ・タブレット型」など形式があり、
用途・設置場所に応じたタイプを選ぶ

③ コストを確認する
選んだ決済代行会社の契約条件を確認し、無料、レンタル、有料などを確認する

④ セキュリティへの信頼性の確認
決済情報を扱うため、セキュリティ基準(例:PCI DSS準拠など)を満たしているもの

⑤ 将来の拡張性の有無
新しい支払い方法が出てきた時にも対応できるかどうかを確認

◆小規模小売店に適している決済端末機

① Square(スクエア)端末

・「オールインワン型」で、クレジットカード・電子マネー・タッチ決済(NFC)対応 している
・店舗設置型としても、移動形式でも使いやすいデザインになっている

② Airペイ(エアペイ)端末

・iPadやiPhoneと専用カードリーダーを組み合わせるタイプで、省スペース店舗にも適して
いる
・対応決済ブランドが多く、小規模店にも導入しやすい機種

③ STORES 決済端末

・コンパクトな端末で、Bluetooth接続、カード・電子マネー・磁気ストライプ対応などの
仕様になっている
・小規模店舗で「まずは1台からキャッシュレスを始めたい」という場合に適している機種と
言える

STORES無料で始められる、 クラウド・POSレジアプリ

④ stera pack 決済 端末

・1台でクレジットカード、電子マネー、QRコード決済など 30種類以上の決済手段に対応
・本体が 据置型 となっており、モバイル型(持ち運び用)ではないことが欠点
・「お店側画面」と「お客様側画面」が分かれており、操作・会計時の視認性がよく使いやすい

    stera pack ⇒ あらゆる決済に1台で対応 stera pack

5.決済代行会社への申し込み・審査・契約

決済代行会社への申し込み、審査と契約までの手順は以下のようになります

① 申し込み

◆必要な情報
・代表者本人確認書類(運転免許証など)
・店舗情報(住所・業種・営業時間)
・銀行口座(売上入金用)
・事業形態(個人事業主/法人)
・売上の見込みや提供するサービス内容
・店舗の写真(実店舗の場合)

◆Webサイトから申し込み
決済代行会社の公式サイトにアクセスし、そこから登録します
・店舗名・屋号
・事業の種類
・取り扱い商品・サービス
・予定している決済ブランド
・売上の規模・見込み
・入金用口座情報

◆店舗写真の提出(実店舗の場合)
外観(店名がわかる写真)
・内観(店内写真)
・商品棚等
・看板

② 審査

次の観点から審査が行われます 
・事業内容が健全か
・店舗情報が明確か
・返金リスクの低さ

※審査に落ちやすい例として次のようなものがあります
・商品説明が曖昧(例:占い・情報商材・副業系)
・高額商品の単発販売(エステ、宝飾など)
・店舗写真が不明瞭
・無店舗型で事業実態が確認できない

小規模小売店は一般に問題なく通るようです

6.機器の設置・アプリ設定は決済代行会社に

◆どのような機器類の設置が必要か

レジ周りには必要に応じて次の機器類が設置されます

①キャッシュレス決済端末(決済端末/マルチ端末)
②スマホ・タブレット(アプリ式の場合)
・Airペイ、Square Reader などで端末機がアプリ連動型の場合、レジとして使う
・タブレット・スマホが必要
③通信機器(光回線を使う場合)
ONU(光回線終端装置)
・ホームゲートウェイ/Wi-Fiルーター
 (決済端末をネットに接続するために必須)
④POSレジ端末 (必要に応じて)
・タブレットPOS(Airレジ、Square POS、スマレジ)
・専用POS機
⑤キャッシュドロア(現金用)
・現金併用店では必須。
・POSと連動して自動で開くものが多い
⑥バーコードスキャナ
・商品バーコードを読み取りスピーディに会計
⑦レシートプリンター
決済端末と連携することが多い
・BluetoothまたはLAN(有線)接続
⑧QRコードスタンド
・PayPay、楽天ペイでは店頭に置く
⑨電源タップ/ケーブル収納用品
レジ周りは電源が多いため整理が必要
・延長コード
・雷ガードタップ
・ケーブルボックス
⑩タブレットスタンド/レジ台
タブレットPOSを固定するために必要
⑪ワイヤレスルーター(Wi-Fi) 
カード会社やQR決済サーバーとの通信に必要

◆機器の設置は誰が行うのか

機器の設置や各種設定はほとんど決済代行会社が行ってくれるが、出荷時にアカウント、利用ブランドが既に設定済みの状態で発送されるケースもあります。

設定後、決済代行会社の担当者立会いの下にテスト決済等の動作確認を行います。

7. 顧客などに運用開始を知らせる

店がキャッシュレスを開始したことをお客さんに知らせる方法として、次の方法があります

◆店頭で知らせる

①店舗入口にステッカーを掲示
・クレジットカードブランドステッカー(Visa、Mastercard、JCBなど)
・QR決済ステッカー(PayPay、楽天ペイ)
・電子マネー(交通系IC、iD、QUICPay)

レジ前に「キャッシュレス使えます」案内を設置
・小さなPOPスタンド
・カードブランド一覧をまとめた紙POP

③決済端末を見える場所に置く
・お客様が端末を見ればキャッシュレスが「使える」と感じる

④店内にポスターを掲示
<例>
・「キャッシュレス決済ができます」

◆お客様に直接伝える(接客での告知)

①レジで声掛け案内
②キャッシュレスを始めたことをネールやDMで知らせる

◆オンラインで知らせる

①Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)の更新
・「使える決済手段」を登録すると、検索したお客様が事前に知ることができる 

②店舗のSNSで告知
・Instagram
・X(Twitter)
・Facebook
<例>
「本日よりキャッシュレス決済(クレジット、交通系IC、PayPay)をご利用いただけ
 ます!」

③商店街・地域のWebサイトに掲載
キャッシュレス決済を始めたことを掲載 

公式ホームページ・ブログで告知

・店舗案内ページに「対応決済」を明記
・メニュー・料金ページに対応ブランドロゴを掲載

チラシやポイント施策で周知

①チラシ・ショップカードで周知
・近隣配布・店頭渡しで「キャッシュレス対応店」を周知
②開始直後に“利用促進キャンペーン”を実施
<例>
・「キャッシュレス支払いで5%OFF」
・「PayPayで支払うとポイント2倍」

【まとめ】

小規模小売事業者がキャッシュレス決済を導入する際は、まず導入目的を明確にすることから始めます。
客層にキャッシュレス利用者が多いか、会計の効率化や現金管理の負担軽減を図りたいか、観光客対応を強化したいかによって、最適な決済手段は変わってきます。
導入する決済手段については、小規模店では、クレジットカード、交通系ICカード、PayPayなどの主要QRコード決済の3つを基本とするのが無難になりますが余力があればiDやQUICPayなどを追加する構成が最も導入効果が高くなります。
続いて決済代行会社の選定に進みますが、Airペイは幅広いブランドに対応しておりバランスが良く、Squareは導入が簡単で初期投資が少ないなど、サービスごとに特徴が異なるため、手数料、対応ブランド、導入のしやすさなどを比較して選ぶとよいでしょう。
決済代行会社への申し込みに際しては、本人確認書類、店舗写真、銀行口座情報などが必要で、審査には通常数日から1週間程度かかります。
審査通過後は、レジ周りへの機器設置を行うことになりますが、光回線を利用する場合は、店舗のONU(光回線終端装置)からWi-Fiルーターを設置し、決済端末やPOSタブレットをWi-Fiに接続します。
レジ周りには、決済端末、POSタブレット、レシートプリンター、キャッシュドロア(現金併用の場合)などが配置されることになり、設置は比較的簡単で、30〜60分程度で完了することが多いです。
次に、決済アプリやPOSアプリの設定を行いますが、決済サービスのアプリにログインし、対応している決済ブランドを確認して売上の入金設定を行い、POSアプリと連携して商品登録やレシート設定を整えます。
設定が完了すれば、テスト決済を実施し、問題がなければ運用を開始することができます。
キャッシュレス導入後は、店舗側から積極的にお客様へ告知することが利用率向上の鍵となります。
入口やレジ周りにブランドステッカーやPOPを掲示し、決済端末を見える位置に配置することで、来店者に「使える」という安心感を与えられることができ、また、Googleマップ(ビジネスプロフィール)へ対応ブランドを登録し、SNSやホームページで案内することで、来店前の段階でも認知を広げることができます。
導入後の運用では、Wi-Fi環境の安定、端末の充電管理、売上の定期確認など、日常的なチェックを行うことが重要になります。
キャッシュレス導入のメリットとして、会計のスピードアップ、現金管理の負担軽減、客単価の向上、若年層や観光客への対応力向上が挙げられますが、一方で、決済手数料や通信トラブル、端末管理の手間などのデメリットもあるため、スムーズな運用のためにはトラブル時に対応に常に心掛けておく必要があります。
総じて、小規模小売店が効率よくキャッシュレスを導入するためには、主要決済手段に絞ったシンプルな構成、安定した通信環境、そして顧客への丁寧な告知が不可欠です。これらを適切に行うことで、最小限の負担で最大限の導入効果を得られるキャッシュレス環境が整うことになります。