あるまちの小売店の話です。
どうも客足が頭打ちになり売上も伸び悩んでいる。新規顧客の獲得がうまくいかない。
ここは一つ「店のリニューアルをやってみるか」と考えました。
店を小ぎれいに改装し、商品棚も新調しました。
店員にもしっかり接客マナーを教えました。
いま流行りの商品も入荷しまし、しっかり新聞への折込広告もやりました。
これらの方法は新規の顧客を獲得する方法として決して悪い方法ではありません。
これでしばらくはお客さんも増えました。
ところが店のリニューアル後、1週間たち2週間たち1ヶ月も過ぎる頃になると、お客さんは増えるどころか徐々に減り始め、気が付けばもとの状態に。
お客さんは飽きやすく世の中の流行は一時的なものが多いのです。
これまでの顧客の声として、
・あの品物は、あそこの店に行けばあると思っていったのに他の商品に変わっていた。
・なんだか店の雰囲気が変わってしまい気軽に行けなくなった。
などの声が聞こえてきそうです。
お客さんとしてこのような経験はよくあることです。
やがて、これまでの顧客は、自分に合う新しい店を見つけ、この店には二度と足を運ばないかも知れません。
店主の判断で行ったお店のリニューアルは果たしてお客さんが本当に望んでいたことなのかどうか。
この検証をしっかり行う必要があります。
目先を変えて一時的にお客さんを呼ぶのは比較的簡単なことですが、長期に渡って安定した集客を行うのはそれほど容易なことではありません。
安定してお店を経営するには、新規顧客の獲得の他に、これまでの顧客の繋ぎ留め、即ちリピーターを多く持つことがとっても重要なことです。
お店にとって、一時的に100万円、150万円の売上を上げるより、毎日安定して20万円、30万円の売上を続けてゆく方が安定した経営になるのです。
リピーターを確保することにより顧客を固定化し、リピート購入を継続させることで売上と利益を安定化させることができるのです。
ここでは、リピーターの獲得方法などについて、
・リピーターが必要な理由
・リピータがつかない理由
・リピーターを増やす方法
などにつて考えてゆきます。
目次
1リピーターはなぜ必要なのか
多くのまちの小売店が新規顧客を獲得しようとすれば、自店の広告・宣伝費、セールやイベント開催など集客のためのコストが必要になります。
また、新規顧客頼みの経営では安定した収益を見込むことが難しくなります。
一方で、一定のリピーターの確保ができれば次のような効果により常に安定した利益を上げ続けることができます。
①集客のための手間とコストが削減できる
購入履歴がある顧客は、自店の商品やサービスについてすでにある程度知っていることから、購入していただける可能性が高くなります。
②顧客情報を使って効率的に来店を促すことができる
来店履歴のある顧客は顧客リストから抽出し、セールやイベント時に来店を促すことができます。
③口コミによる新規顧客の獲得が期待できる
本人が購入するだけではなく、店、商品、サービスなどについて、SNSでの発信、知人との会話などにより好意的な情報を拡散してくれることが期待できます。
2 なぜお客様が離れてゆくのか
「良い商品・良いサービスを提供していればお客様はまた来てくれる」と考えている店主は多くいると思います。
もちろんいい商品を置いて、店の雰囲気をよくし、接客に気を配るのはお店を経営してゆく上でとても大切なことです。
けれども、そのことと一度来たお客様がまた来たいと思うこととは別なのです。
その理由と対策は次のことが考えられます。
◆お客様が望むものと店側の考えるサービスは一致しない場合がある
お客様によっては売っている商品に満足していてもまた来ようと思わせる何かがなければ二度と足を運んでくれません。
それが何かなのかは店主には思いつかないことが数多くあります。
なぜならば、店側がよかれと思ってやっていることとお客様の思いにズレがあるからです。
店側がお客様のためにと一生懸命考えたサービスなどがお客様が欲しいと思っているサービスに大きな隔たりがあることが原因になっていることがあるからです。
お客様は、その店に行くことに自分にとってメリットを感じなければ足を運んでくれません。
あなたの店にゆくことによるお客様のメリットとは何なのかを店側が思いついても、それは店側の一方的な思いであってお客様の思いとはかけ離れていればそこにすれ違いが起こります。
◆お客様が欲しいと思うサービスはお客様に聞くのが一番
あなたのお店に対するお客さまの思いは直接言ってくれる以外は店側としてはわかりません。
よくスーパーなどでは「お客様の声を声」としていろいろな声を集めて張り出しているのを見かけます。
あれです。
聞き方はアンケート用紙を配布してもいいし、機会を見つけて直接聞いてみるのもいいでしょう。
聞く内容は、・お店の雰囲気 ・商品の品揃え ・商品の陳列方法 ・店員の接客態度 ・他の店との比較などです。
これらについて、
①この店で良いと感じるところはどんなところですか?
②この店のここをこうすればいいと思うところはどんなところですか?
この2点です。
この二つのことを聞くことにより、
①については、手が付けられるところから改善してゆきます
②についてはこれからも継続して続けて行きます。
つまり、自分の店の強みと弱みをあぶり出すのです。
この二つことを実行することで、お客様の満足度も上がり、リピーターの確保につながるはずです。
3 リピーターを増やすための方策
これまでに来店してくれた顧客にまたこれからも来ていただき、リピーターになってもらうには、具体的にどのような方策があるのか見ていきます。
①顧客名簿(顧客リスト)を整備する
顧客のリストを整備し、顧客の買い物履歴などから好みの商品を割り出し、それに見合った商品の入荷があればDMやメールで報せて来店を促します。
顧客リストの関連情報 ⇒ 顧客リストは店の資産!/作り方と活用方法
②リピーターへの特別感を出す
・来店履歴のある顧客に対し、優待日を設け、特別価格での奉仕品を数量限定で売り出します。
・新商品を誰よりも早く試せるようなイベント日を設け、来店履歴のある顧客に招待状を
出します。
③LINEやSNSを活用し、コミュニケーションを欠かさない
LINEのグループ機能を活用し、お店や新商品、イベント、セールなどの情報を発信し、日頃からコミュニケーションを図ります。
また、Facebook、インスタグラム、Twitter(x)などのSNSを活用し、お店、賞品、セール、イベントなどの情報を逐次発信します。
④近くの競合店に負けないような商品を出す
商品やサービスが近くの競合店に比べて劣っていないかについて常に関心を払い、それよりも勝るものを提供するようにします。
⑤特定の商品にこだわりを持っている顧客に対して、その商品の入荷を急ぐ
入荷し次第、顧客に報せて来店を促します。
4 まとめ
多くの広告・宣伝費を使って新規顧客獲得のため奔走するより、リピータを確保し、毎日一定数のお客様が来店してくれる方が安定した経営が望めます。
リピーターがつかない理由として、店側がお客様の要望を十分把握しきれていないことにその原因の一端があります。
したがってリピーター確保でまず始めなければならないのは、お客様が自分の店に何を望んでいるのかを直接お客様に聞いてみることがポイントになります。
自分の店の改善しなければならない点はお客さんが一番よく知っています。
お客様の望んでいることで改善が必要なことをひとつづつ実行してゆくことがリピーター確保の早道です。
その上で、具体的なリピーター確保の方策を実施します。
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