最近特に目にするデジタル化による新しい技術や技法について、まちの小売店や小規模小売事業者などがぜひ知っておかなければならない
・DXとは
・クラウドとは
・POSシステムとは
・キャッシュレス決済とは
・マルチ決済端末とは
・バーチャル店舗とは
・3Dセキュアとは
・デジタルサイネージとは
などのデジタル技術を使った新しい商いの方法などについて、その概要をまとめました。
近頃、身の回りはデジタル化が急激に進み、小規模小売事業者も日常の店舗経営でデジタル化から逃れることはできません。
買い物にお店を訪れるお客さんも当然のように買い物に関するデジタルの知識を持っており、これに対応できないお店には二度と足を向けることはありません。
お店の経営者も従業員も含めて、現在の商売に関するデジタル化に対する最低限の知識を持っていなくては新規顧客の獲得や顧客の繋ぎ留めがおぼつかない状況になっているのです。
なお、それぞれの詳しい情報については、各項の下段に掲げているリンクをご覧下さい。
目次
1 DXとは
「DX」とは、「デジタル・トランスフォーメーション」のことです。
直訳すれば、「デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること」ということになります。
経済産業省が、2018年12月に「今後日本においてDXが進まない場合、2025年以降に年間最大12兆円もの経済損失が生じる可能性がある」とのレポート(「2025年の崖」)を発表し、これへの対応として「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」というものを発表しました。
これを契機に、世の中には一気に「DX」という言葉が氾濫するようになりました。
経済産業省が定義するDXは、
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
としています。
要するに、
①データとデジタル技術を活用する
②製品やサービス、ビジネスモデルを変革する
③組織や組織文化も「変革」する
その結果、競争上の優位性を確立することができる
ということになりますが、これだけ見ると大企業向けに発せられているように感じますが、中小企業や小規模事業者にとっても一様にDXに取り組んでゆかなければならないようです。
小規模事業者にとってのDXの取り組みは、まずは身近な「業務の流れを効率化し、業績をアップする!」を目標に掲げ、DXに取り組みはじめるのが適当で、その後、デジタル化のレベルが上がってゆけば、取引先や顧客を巻き込む形での新たな高付加価値を生むことにつながり、本来のDX推進の目的を達成出来ることになります。
2 クラウドとは
クラウドとは、「クラウドコンピューティング」の略で、ユーザーに向けた様々なサービスがインターネットを介して行なわれるもので、クラウドサービスと呼ばれています。
クラウドサービスは、ユーザーがソフトウェアやストレージを持たなくても、インターネットを通じて必要なサービスを必要な時に必要な分だけ利用できるサービスのことです。
身近なところでは
Gmail、Twitter、Facebook、One Driveなどもクラウドサービスの一種になります。
現在、様々なクラウドサービスが出現してきており、普段仕事で使うサービスとして、
・データの移行や仕事で使うファイルの共有や、やり取りなどが行える「オンラインストレージ」
・スケジュール管理やタスク(現時点での作業)の共有などが行える「グループウェア」
・情報の管理などが行える「顧客管理システム」
・社内で一つのプロジェクトを実行して場合など、プロジェクトメンバーの進行状況の入力や確認が行える「プロジェクト管理システム」
・人事や労務管理の業務を効率化する「人事・労務の業務効率化システム」
などがあります。
クラウドサービスが出現する前までは、企業や事業者では、高価なサーバーやソフトウエアーなどを購入し、独自のシステムを構築・管理しなければなりませんでした。
しかし、クラウドサービスを導入すれば、サーバーやソフトウエアーの導入の必要がないばかりでなく、これらの管理も必要なく、社内の誰でもが、いつでもどこからでもアクセスできるところから、システム導入費の削減や業務の効率化に大きく寄与しています。
3 POSシステムとは
POSシステムとは、「販売時点情報管理」の意味です。
すべての売上実績を販売が発生した時点で個別に管理し、何が・いつ・どこで・いくらで売れたのかなどを全てデータとして記録し、物品販売の売上実績を単品単位で記録し集計するシステムをいいます。
POSシステムの持つ販売データの集積・分析機能などを活用して、現在ではPOSレジとして多くの店舗で広く使用されており、POSシステムとはPOSレジと同義語として捉えることができます。
POSレジの進化は著しく、最新のものには以下の機能が搭載されています。
・売上のリアルタイムの集計
・来店履歴や購入履歴などの顧客管理
・複数店舗の一括管理
・複数店舗の売上情報を一括管理する本部機能
・クレジットカード・電子マネー・QRの各種決済
・店舗ごとの予算・目標設定・達成率分析
・棚卸・発注・入荷出荷・店舗間移動の在庫管理
・会計ソフトやタイムカードなどの外部システム連携
・商品情報・売上分析・会員情報などの各種データのCSVファイルへの出力
らに、クラウド勤怠管理システム「スマレジ・タイムカード」と連携すると、勤怠管理・給与計算・シフト管理・その他人時売上高の確認や、マイナンバー管理まで、一元管理することができます。
POSレジは、キャッシュレス、DXの進行に歩調を合わせるかのように進化を続けているようです。
4 キャッシュレス決済とは
キャッシュレス決済とは、現金以外で支払う決済手段のことです。
その種別は
・クレジットカード
・デビットカード
・電子マネー(交通系、流通系)
・コード決済(バーコード、QRコード)
などがあり、これらを店舗に置いてある専用の読み取り機で読み、決済が行われます。
これらの他に広い意味では、銀行振込や口座引落もキャッシュレス決済になります。
キャッシュレス決済は、先進国の中でも日本が特に遅れていると言われていますが、コロナ禍以降急速に普及し始めています。
支払い方式としては、
① 前払い
・電子マネー
利用金額を事前にチャージしておく必要がある。
② 即時払い
・デビットカード
支払いと同時に引き落とし
③ 後払い
・クレジットカード
後日に請求
④前払い、即時払い、後払い
・コード決済
事前チャージ、デビットカードを紐付けられる即時払い型、クレジットカードを紐付けられる
後払い型
などとなります。
カードなどを読み取る方式としては、
①接触型
カードリーダーなどで直接読み込む方式
②非接触型
カードやスマートフォンを近づけるだけで、近距離無線によって読み取る方式
③コード読み取り型
店頭に置かれたQRコードをスマートフォンの専用アプリで読み取ったり、スマートフォンの専用アプリでQRコードやバーコードを表示させて店舗の専用端末で読み取ったりする方式
があります。
5 マルチ決済端末とは
マルチ決済端末とは、クレジットカードの他にデビットカード、電子マネー(交通系、流通系)、コード決済(バーコード、QRコード)、モバイル決済など、あらゆるキャッシュレス決済を1台の端末機で行うことができる機能を持った決済端末です。
決済端末機はこれまでは据え置き型のCAT端末が主流であったが、近頃では決済方法の多様化などに伴い、
・1つの端末であらゆるキャッシュレス決済に対応できること
・レジ業務の省力化
・顧客情報の蓄積と管理運用
などが求められるようになり、これらを兼ね備えたマルチ決済端末機が急速に増えつつあります。
最近では、従来の据え置き型から、回線工事が必要でなく、すぐ導入でき、持ち運びが可能でスマートフォンやタブレット端末を接続して利用するモバイル型(ポータブル型)と呼ばれる機種が急速に増えつつあります。
6 バーチャル店舗とは
バーチャル店舗とは、オンライン上で、VRや3D技術を使ってオンライン上に仮想店舗を出現させ、お客さんがあたかも実店舗を回遊しているような感覚でショッピング体験ができる空間を創り出すことです。
さらにオンラインショッピングと連動させ、お客さんが気に入った商品をクリックすれば、その場で購入・決済を行うことができます。
お客さんにとっては、いつでもどこでも買い物ができ、店側としては、実店舗運営に要する費用や人件費等の経費や手間の削減を行うことができます。
⇒ 商店街のVR
7 3Dセキュアとは
3Dセキュアとは、ネットショッピングなど、オンラインでクレジットカード決済を選択した際に、「本人である」と認証をする仕組みのことです。
これまでクレジットカードで決済を行うときカードの所有者は、カード番号、カード有効期限、セキュリティーコードを入力して決済を行ってきましたが、いずれもカードに記載されたものです。
ここまではクレジットカードの有効性の確認であり、使用しようとしている本人の確認は行われていません。
この隙間をついて、フィッシングなどによるカードの盗用、スキミングによる偽造カードなどによるカード不正利用が続出しています。
これらのクレジットカード不正利用を防止するために、カード会社ではカード保有者に対し従来からのカード番号などのカード情報の他に「自分しか知らないパスワード」の設定を行うよう求めます。これが「3Dセキュア」と呼ばれる新たなセキュリティシステムです。
「自分しか知らないパスワード」は、事前にクレジットカード会社にパスワードを登録します。
「3Dセキュア」では、カード保有者がクレジットカード使用するときには、カードを所持していることのほかに、「自分しか知らないパスワード」の照会が行われることにより、改めてカード所有者本人であることの二重の確認が行われることで、第三者による不正利用を抑制できるというわけです。
8 デジタルサイネージとは
デジタルサイネージとは、駅、ショッピングセンター、電車の中、公共の施設など、人通りの多い場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信する電子看板のことです。
様々な情報・案内などを従来の紙や看板・掲示板などの媒体から大小のディスプレイにより静止画だけではなく、動画を音声とともに表示するもので、最近ではディスプレイ技術の進化やネットワークの高速化に伴い、容易に情報の更新ができ、タイムリーな情報が伝えられるなど、さまざまな業界で急速に普及が進んでいます。
デジタルサイネージは、
・映像と音声で伝達力が格段にアップ
・広告物の作成、送付の手間と費用の削減
・多言語表示によるインバウンド対応
など、目立つことこの上なく、こと情報の伝達にかけては他の媒体の追随を許さないものがあります。
特に商店街の入口などに設置し、商店街のイベント、各店舗のサービス、一押し商品などの情報を掲示すれば集客に大きな効果が期待できます。
まとめ
ここに挙げたものは、最近になって特によく見聞きする項目で、小売商業を営む者にとって、今後様々な機会に関りを持たざるを得ない内容になります。
昨今、国や各自治体などからの後押しもあり、キャッシュレスやデジタル化を推進する動きがことのほか活発になっています。
まちの小規模事業者にとってもこの流れから逃れることはできない状況です。
聞きなれない項目もあるかもしれませんが、必要に応じてここに掲げた内容をご覧頂ければ幸いです。
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