商店街はそれを構成する各個店とそこにある商品を多くの人々に知ってもらうことが重要です。
各商店街は商店街の知名度向上のため、それぞれ工夫を凝らし、様々な取り組みを行っています。
これを地元小学校とのコラボで行っている商店街があります。
その商店街は京都市中京区にある夷川通商店街です。
夷川通商店街はかっては「家具の街 夷川」と呼ばれ、明治初期より家具店が集まりはじめ、これまで住宅関連の専門店街として発達してきました。
現在では、新しく現代風の飲食店などの進出もあり、衣食住発見の通りとして、伝統を踏まえつつも、新しいことに挑戦するモノつくり・サービスが息づいているまちとして、京都だけではなく、多くの人々に親しまれています。
ここでは、夷川通商店街が地元小学校と連携しながら進めている商店街の活性化の取り組みをいくつか紹介します。
【夷川通商店街(夷川会)】⇒ https://www.ebisugawa.net/
目次
1 地元小学校とのコラボレーション
夷川通り商店街の近くに「御所南小学校」があります。
この小学校と商店街との結びつきは古く、かねてより様々な交流を行っています。
その一環として、商店街と小学校は共同でこれまで、以下のような取り組みを行ってきました。
①児童絵画展
②ストリートクイズラリー
③商店街キャラクターコンテスト
それぞれの取り組みの内容とその効果などを説明します。
■児童絵画展
児童絵画展はかれこれ30年近く前から行われている催しで、小学校児童が描いた絵を主店街各店舗のショーウインドウなどに掲示し、道行く人たちにゆっくり見ながら街を散策してもらおうという取り組みです。
◇児童絵画展の効果
長い間続けているといつの間にか街の風物詩のようになり、毎年11月になると街行く人たちもつい足を止めてショーウインドウを覗き見るようになりました。
そして、そんな人たちもいつしかその絵が飾られている店を知るようになり、自然にそこにおいてある商品に興味を覚えるようになります。
この取り組みは、学校側としては課外活動の一環として行われたもので、児童たちにとっては一生懸命描いた絵を多くの人たちに見てもらえる貴重な体験です。
近隣住民、通りすがりの人は、普段、なにげなく通っている商店街に近所の小学校児童の絵が飾られていると、つい足を止めて見入いる方が多くいます。
もしかしたらご自分の子供さんであったり、知り合いのお子さんの絵を見つけるかもしれません。
そして、飾られている店に特別の親しみを感じることもあるでしょう。
これが商店街での新しい出会いであり、発見になります。
商店街にとっては、児童絵画展をきっかけに知名度が上がり、注目を集めるのが狙いで、これを契機として来街者の増加を見込めることが最大の効果になります。
■ストリートクイズラリー
小学校児童が商店街の各店舗へ行き、それぞれのお店の商品や特徴などを見聞きし、これらをもとに制作したオリジナルのクイズ(30問)を外からも確認できる状態で店舗内に掲示し、商店街の公式LINEアカウントのお友だち登録をした方にスマートフォン等を用いて回答していただき、クイズラリー参加者の中から、5問以上正解した方に抽選で景品を差し上げるという試みです。
◇ストリートクイズラリーの効果
商店街はこの催しによりこれまでの顧客に加え、新たなファンを得るチャンスであり、加盟各店にとっても新規顧客の獲得が期待できます。
商店街の近隣住民だけではなく、観光客をはじめとした、たまたまこの商店街に立ち寄った人たちにもこの商店街を知っていただき親しみを持っていただける絶好の機会になります。
小学生児童がオリジナルクイズを作成するには、商店街の各店に行き、店主と様々な会話をしながらその店に因んだクイズ問題を作成する必要があり、おのずとその店の特長や商店街の概要などを学ぶことから学校では学ぶことができない社会勉強をすることになります。
商店街のLINE公式アカウントへの友だち登録した方々は、クイズに回答することにより、商店街や各店について多くの情報を得ることになり、商店街に親しみを感じる方も生まれます。
■商店街キャラクターコンテスト
小学校4年生の児童を対象にグループ別に10点程度募集し、応募作品を夷川会ホームページ、SNS(LINEなど)により広報し、先の児童絵画展と同時期に夷川会会員の各店舗にも展示し、街行く人々に見てもらいます。
さらに、展示作品の中から、一般の方からSNSなどにより2点を選定してもらい、選ばれたキャラクターは、翌年度から組合の広報物などに使用するという試みです。
◇商店街キャラクターコンテストの効果
先の児童絵画展の延長線上にあり、自由画題ではなく、児童からは商店街のキャラクターとしてふさわしい絵を募集するもので、そのためには児童に商店街のことをよりよく知ってもらい、商店街の特徴を把握してもらう必要があります。
このことにより、児童には商店街に対しより親しみを感じてもらうことができます。
応募作品の中から作品を見ていただいた方から商店街のキャラクターにふさわしい作品を選んでもらうわけですが、このことにより、従来の顧客だけではなく、これまでこの商店街のことをあまり知らなかった方にも商店街を知っていただくよい機会になります。
商店街にしても先の二つの催しと同様に新たなファンを得るチャンスでもあります。
2 まとめ
有名商店街を除き、多くの商店街は様々な手を尽くし、人通りの復活に向けて懸命になっています。
今の時代、商店街は単にものを売り買いするだけの場ではなく、新たな出会い、新しい発見などこれまでにない魅力を作り出す必要があります。
今回取り上げた夷川商店街は古くから馴染みのある地元小学校の児童とコラボしながら児童にとっては新しい創作活動、商店街にとっては外部への認知度の向上を目指した取組にであり、お互いにとって、とても有益な取り組みであると言えます。
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