※本投稿は2022年6月時点での情報です!
目次
1 経営力向上計画とは
「経営力向上計画」とは、 人材育成やコスト管理、設備投資などを行って自社の経営力を高めるために策定し実施する計画 のことです。
中小企業者等が経営力向上計画を作成して国に対して申請し、認定されると補助金の優先採択や税制の特例を受けられるメリットがあります。
ここでは主に中小企業者が経営力向上計画を策定し、国から認定を受けることによる、
・メリット(補助金の優先採択や税制の特例について)
・経営力向上計画作成、申請方法
について解説します。
2 経営力向上計画認定によるメリット
経営力向上計画を策定し、国からの認定を受けることにより、国から税制措置や金融支援等などのサポートが受けられます。
また、補助金事業の交付申請における審査時に加点され、採択について有利になるなどのメリットがあります。
(1) 税制上の優遇措置
① 計画に基づいて一定の設備を新規取得して指定の事業に使う場合、即時償却または取得価額の10%の税額控除を選択適用することができることから、当該年度の法人税または個人事業主の所得税が軽減されます。
② 他者から事業を承継するために土地や建物を取得する場合、登録免許税・不動産取得税の軽減措置を利用することができます。
(2) 補助金事業の優先採択
補助金事業の審査時に経営力向上計画が認定されていることは加点要素となり、採択されやすくなります。
(3) 金融支援
敷調達時などに次の金融支援を受けることができます。
・日本政策金融公庫による融資
・中小企業投資育成株式会社からの投資
・日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
・日本政策金融公庫によるクロスボーダーローン
・中小企業基盤整備機構による債務保証
・食品等流通合理化促進機構による債務保証
・中小企業信用保険法の特例
3 経営力向上計画の申請方法
(1) 手引きと申請書を入手
中小企業庁の経営サポート「経営強化法による支援」 にアクセスし、「経営力向上計画策定の手引き」をダウンロードします。
この「経営力向上計画策定の手引き」には、経営力向上計画の内容から計画策定の手順や記入内容などなどが詳しく解説されていて、この手順通り進めてゆけば申請書の作成ができるようになっています。
申請書は、「申請書様式類」の「経営力向上計画に係る認定申請書」ダウンロードしてこれに必要事項を入力します。
また、入力の際には「申請書記載例」 を参考にすればスムーズに入力できま
※小売事業者の様式は「小売事業者記載例」 を参考にします。
(2) 自社・自店の事業分野を確認
申請書には、自社・自店の事業分野と事業分野別指針名を掲載する必要があります。
総務省の「日本標準産業分類」から調べることができます。
申請書には、該当する中分類(2桁)と細分類(4桁)のコードと項目名を記載します。
※小売事業者は、
大分類「I」 中分類「56」~「61」になります。
細分類は業種により、中分類の中から該当する業種の4桁のコードになります。
(3) 経営力向上計画の申請書作成
申請書はダウンロードしておいた「経営力向上計画に係る認定申請書」に入力します。
記入に際しては、「申請書記載例」を参考にして順番に記入します。
(小売事業者の場合は「小売事業者記載例」を参考にします)
主な記入項目として
①自社・自店の現状認識
②経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
③具体的な実施事項
があります。
●自社・自店の現状認識については、経営力向上の目標や具体的な実施項目を探るために、次の項目を整理しておきます。
・自社の事業概要
・自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向
・自社の経営状況
このことにより、自社・自店の強み、弱み、経営上の課題等が見つかり、経営力向上の目標や具体的な実施項目が見えてきます。
●経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標については、経営力向上の目標を数値で表します。
現状と計画終了時の目標を記入し、その伸び率を数値で表すことにより、経営力の向上の効果を客観的に示します。
指標の種類については、事業分野別指針によって異なりますが、次の3項目から選ぶことになります。
・労働生産性
・売上高経常利益率
・付加価値額
記載例では、小売事業者の場合は、指標を「労働生産性」とし、伸び率を5年間で2%としていますが、自社・自店の現状分析など計画書作成全般を含めて、よくわからない場合は中小企業診断士などの専門家のアドバイスを受けるのが良いでしょう。
(4) 申請書の提出先
申請書の提出先は、事業分野別に異なっているので経営サポート「経営強化法による支援」(中小企業庁)の「経営力向上計画・事業分野別提出先」で確認します。
小売業の場合は、
・一般 各地域の経済産業局
・食料品 各地域の農政局
・医薬品 各地域の厚生局
になります。
提出先が経済産業局の場合は電子申請も可能になっているので経営力向上計画プラットフォームから行うことができます。
4 まとめ
経営力向上計画が認定されることにより、税制上の特例や補助金事業の優先採択など今後の自社・自店の経営にとって有利なことは前述の通りでです。
作成する認定申請書はわずか3枚程度であり、専門家のアドバイスを受けながら進めてゆけばそう難しいものではありません。
また、経営力向上計画を策定することで、自社・自店の経営、市場の動向、顧客の意識などから自らが置かれた環境を改めて見直し、弱み、強みを再発見し何を改善し、何を伸ばしてゆくのかを改めて確認する機会も得られることができます。
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