商店街の消費者のアンケート調査/商店街を一番よく知っているのはお客さん!

商店街の再生・復活はどこの商店街でも大きなテーマです。

かっての賑わいを取り戻そうと様々な手を打っていますが、平均して日常的にお客さんを集めるまでにはなかなか至っていないのが現状です。

そんな中で、おおいに参考になるのが消費者の意見・感想です。

今も商店街に通っている人、殆どいかなくなった人達など、商店街近隣にお住いの消費者の方々にその商店街についての意見や要望を訊いてみたらどうでしょうか。

商店街の再生・復活の方法で行き詰まりを感じておられる役員の皆さん方にとって最後に頼りになるのが商店街を知り尽くしているかってのお客さんや今でも通ってきてくれる近隣住民の方々の声です。

本記事では、商店街再生・復活のヒントを得るために消費者の声を訊く方法等についてまとめました。

1商店街のことはお客さんが一番よく知っている!

商店街の役員会などで商店街の活性化のための方法について侃々諤々意見を交わしながら今後の事業や取り組みなどを決めたりします。
これらはともすればこれまでの行ってきた催しやイベントに少しばかり手を加えたものなどになりがちで、そこにはお客さんの声などが反映されることはあまりありません。
決められた事業や取り組みは果たしてお客さんが本当に望んでいるものなのかその検証が必要なのです。

イベントや催しで一時的に2000人の人を集めるより、安定して500人の人が毎日来てくれる方が商店街にとって大切なことなのです。
そのための方法は、かってのお客さんや今でも通ってきてくれるお客さんが一番よく知っています。

2 お客さんの声を訊く方法

(1)商店街の近隣の住民へのアンケート

お客さんの声を聞く方法として最もオーソドックスなのはアンケートです。
商店街の近隣住民に対してアンケート用紙を配布して訊く方法です。

(2) アンケート調査の目的と狙い

お客さんお声を訊くアンケート調査の目的・狙いは大きく分けて次の2点です。

①商店街への関心と関わり方の度合いを測る
商店街がどの程度近隣住民に支持されているのかを知るためのものになります。
近隣の住民の方にとって、商店街は買い物をする主な場所ではなくなったのか、あるいは今でも愛着を持って通ってきてくれているのか、また、それぞれどのような理由でそうなっているのかを探るもので、商店街そのものへの愛着・親密度の度合いを測ろうとするものです。

②商店街に対して近隣の住民はどのような感情を持っているか
すでに商店街から離れてしまったお客さんに対しては、この商店街がどのように変わってゆけばまた来てくれるのか、今でも変わらず愛着を持って来てくれているお客さんにはどこが気に入っているのか、まだこれから変わってほしいところはどのようなところかなど、商店街の今後の運営を考えるための資料とするためのものです。

(3)アンケート調査の対象者

アンケートの対象は、かっては商店街の常連だったけれども今では殆ど顔を見せない人や今でも毎日通ってくれる人、特定の店のファンの方など、年齢、性別に関係なく商店街の商圏と思しき近隣の地域に対し無作為に行います。

(4) お客さんの本音を訊くには答える側へのメリットと特典が必要

元来、このようなアンケートには何かのメリットがないとなかなか答えてもらえないものです。
なぜなら答える側にとってメリットが感じられないからです。
アンケートに答えてもらいお客さんの本音を聞きだすには答えるメリットとさらに何らかの特典を用意する必要があります。

お客さんが答えるメリットを感じるアンケートのお願い方法
アンケートをお願いする案内文には、お客さんに喜んでもらうには商店街の都合でアンケートを実施するような印象や漠然とした問いかけなどではお客さんはアンケートに真剣に答えてくれません。
例えば、「商店街に人を呼ぶ方法」、「商店街に活気を取り戻す方」などと問いかけても漠然としすぎていて、商店街の都合によるアンケートの印象を与えてしまい、答える側のメリットが感じられず、本音の答えが返ってきません。

アンケートをお願いする案内文には、お客さんに喜んでもらうには商店街の都合でアンケートを実施するような印象や漠然とした問いかけなどではお客さんはアンケートに真剣に答えてくれません。

例えば、「商店街に人を呼ぶ方法」、「商店街に活気を取り戻す方」などと問いかけても漠然としすぎていて、商店街の都合によるアンケートの印象を与えてしまい、答える側のメリットが感じられず、本音の答えが返ってきません。

アンケートはお客さんにとって、
 ・どのような商店街になればいいか
 ・このような商店街であればまた行く
 ・こういう店があればいい

などあくまでもお客さんのためになるよう商店街を変えてゆこうという思いが伝わるようなお願いにする必要があります。

さらに、アンケートに応えてくれたお客さんにはすぐ使える商店街のクーポン券などを進呈するなどの特典を付け加えればより回答率がUPします。

3アンケートはお客さんの本音が聞けるような内容に

アンケートの内容は、アンケートの目的と問いかけの内容について具体的でわかりやすいものでなければなりません。
どちらにもとれるような曖昧な問いかけや専門的な知識が必要な問いかけは拒否されてしまいます。
さらに自由な意見が得られるような自由記入欄を設けて、お客様の本音を引き出せるようにします。

アンケートで訊く項目

年齢、性別、職業などの基本的なことの他に商店街に関するアンケート項目は次のようになります。
それぞれの項目には答えを得られやすいように候補を設定し、チェックを入れられるようにします。
さらに、項目選択だけではなく、その他で自由に意見などを書いてもらえるような形式にすることが大変重要なことです。
この自由な意見こそがお客さんの本音になるからです。

下記に過去に行ったアンケート用紙の例を挙げておきます。

アンケート様式の例 ⇒ アンケート用紙

アンケートの内容についての項目を以下に掲げます。

①基本情報
・年齢 ・性別 ・職業

②普段の買物先と買物の種類
・商店街 ・スーパー ・量販店 ・デパート
・それぞれの買物先で何を買うのか

③商店街に買い物に行く頻度
よく行く ・時々行く ・セールがあれば行く ・行かない
◇行かない場合は⑤で理由を訊く

④商店街に買い物に行く理由と何を買っているのか
・自宅に近い ・好みの商品がある ・昔なじみの店がある ・商店街そのものが好き ・その他
・何を買っているにのか
◇その他の場合はその理由を訊く

⑤商店街に買い物に行かない理由
・近くにスーパーがある ・自宅から遠い ・ほしい商品がない ・その他
◇その他の場合はその理由を訊く

⑥商店街の気に入っているところ
・自宅に近い ・昔なじみの店がある ・ほしい商品がある ・まちの雰囲気が好き ・セールなどの催しがよい ・夏祭りなどのイベントが好き ・その他
◇その他の場合はその理由を訊く

➆商店街のここをこうすればよくなると思う
・まちの雰囲気を明るくしてほしい ・ほしい商品を置いている店がほしい ・もっとセールなどを行ってほしい ・駐車場、駐輪場を設けてほしい ・地域の人のコミュニケーションの場としての商店街にしてほしい ・元気が出るイベントなどを行ってほしい ・その他
◇その他の場合はその理由を訊く

4 アンケート結果は商店街の「強み」と「弱み」を知らせてくれる!

アンケートの回収を終えて集計を行ったのち、前記の7項目のアンケート項目別に次の分析を行います。

参考として過去に行った商店街のアンケート結果上げて、それを元に分析のポイントを上げます。 

過去のアンケート結果 ⇒ 地元商店街への住民アンケート結果に見る商店街の目指すべき形

(1) 回答者の階層

①基本情報
主婦層が多いのか、勤め人がどの程度いるのか、年齢層はどうなのかなどの客層を把握します。
おおよその商店街のターゲットを想定することができます。

(2) 日常の買い物動向

②普段の買物先と買物の種類 
近隣の人たちは普段、何をどこで買っているのかを知ることで、商店街との関わり具合を見ます。
近くにスーパーなどがある場合は、商店街からどの程度お客さんが離れていっているのか大いに気になるポイントです。

(3) 商店街との関わりの度合い

③商店街に買い物に行く頻度 ④商店街に買い物に行く理由 ⑤商店街に買い物に行かない理由
近隣住民の商店街への関わりの度合い、関心度など商店街の地域における位置づけを測ることができます。
特に自由意見については、住民の「本音」が窺われる部分であり、商店街としては最も関心を払わなければならないところです。

(4)商店街に対する想い

⑥商店街の気に入っているところ ➆商店街のここをこうすればよくなると思う
自由に記入してもらった中に商店街の役員では思いもつかない意見や感想があります。
これらはお客さんの本音で素直な気持ちの表れであり、商店街としては今後の運営を考える上で最も重要視しなければばならないものと言えます。

以前ある商店街で行ったアンケート調査の結果では次のような意見・感想がありました。

「気に入っている」点として
・昔馴染みの店がある
 ・欲しい商品がある
 ・まちの雰囲気が好き
 ・お店の人と話をするのが楽しい
 ・知人との話が弾む
 ・好きな店がある

一方で、「ここをこうすればよい」という意見では、
・若い人の好む店があればよい
・多くの種類の店があれば良い
・空き店舗をなくして雰囲気を明るくしてほしい
・本屋さんやちょっとした飲食店、コンビニなどの店がほしい

他に
 ・手作り市、百円市などイベントを行ってほしい
・イベント時は屋台とかを出したほうがよい
などがありました。

このようにアンケート調査では、商店街の「強み」と「弱み」をあぶり出す効果があります。

これを受けて、商店街では、
 「強み」についてはこれからも維持し続け、さらに伸ばしてゆく
 「弱み」の部分については出来るところから改善してゆく
 方策を考えることが今後の商店街にとって重要なことになります。

5 まとめ

商店街の復活・再生を考えるとき、ともすればセールやイベントを催すことばかりに目を向けがちです。
確かにこれらの取組は一時的に人を呼ぶには効果的な方法ですが、商店街近辺への量販店、スーパー、コンビニの進出やネット販売の台頭など消費者にとっての買物環境が大きく変わった今、これまで通りのやり方ではいずれ行き詰まることになります。

このような時に近隣住民の方々に、商店街の気に入っているところ、ここをこうして欲しいなどを直接訊いて、望まれる商店街とはどのようなものなのかを知ることに大きな意味があります。

これらの声を集約してその結果により、「気に入っている」ところについてはこれからも伸ばして行き、「ここをこうして欲しい」というところについては改善していくという考え方で今後の商店街の運営を行って行くのも一つの方法です。
どのような商店街になったらお客さんを集められるかを一番よく知っているのはお客さんだからです。