小売業界の組合員の減少が止まらなくなっています。
それに伴って、組合そのものの活気がなくなってきています。
小売業界には業種に応じて様々な組合があります。
組合とは〇〇〇〇協同組合と呼ばれるものです。
小売業界の協同組合の会員数が最近櫛の歯が欠けたように退会者が増えてきており、組合そのものの維持ができない状態になってきている組合を見聞きすることが多くなりました。
小売業界の組合を活性化させ維持するためにはまず加盟店舗数の維持と増加が必須であることは言うまでもありません。
そのためには組合として何をしなければならないのかを探ってみました。
その方法とは、まず、組合員へのメリットをいかにして生み出すかに尽きます。
ここでは、協同組合の解説、組合の現状分析とともに、
・組合を維持する二つの方法
・組合員のメリットを生み出す方法とは
・新規組合員獲得のために組合事業の成果をPRする
など組合活性化の方法の提案を行ないました。
目次
1 協同組合とは
まず、協同組合とは何でしょうか。、
■協同組合(きょうどうくみあい)は、共通する目的のために個人あるいは中小企業者等が集まり、組合員となって事業体を設立して共同で所有し、民主的な管理運営を行っていく非営利の相互扶助組織。連帯経済の主要な担い手である。
また、
共通の目的をもった人たちが、その目的を達成するために組織した相互扶助組織で、協同組合がその目的に沿った事業を実施し、各組合員がこの事業を利用することによって、組合員の利益を増進することを目的とし、その原資は主に組合員からの出資金による。
とされています。
協同組合の大きな目的は、
①相互扶助組織
②組合員の利益を増進
になります。
言い換えれば、「同じ目的を持ったもの同士がお互いに助け合いながら個々の利益を増進する」ために集まっている組織ということになります。
2 組合員が少なくなると組織としての組合が維持できなくなる
”数は力”と言いますが、一つの組織はそれを構成する構成員が多ければ多いほどその力を発揮することができます。
組合員が減ると、人員と資金の不足により組織としての相互扶助ができないばかりか、組合員の利益を増進するための事業ができなくなります。
このことが悪循環となって、まちの小売店の組合の組合員の離脱が相次いでいます。
問題なのは廃業でもない現役の組合員が組合を離脱することです。
3 組合離脱の殆どの理由は「メリットがない」こと
組合を離脱する人が決まって言うことは、
“組合に入っていてどんなメリットがあるのか”
ということです。
組合に入っていれば当然それなりの会費を納めなければなりません。
店主はその会費に見合うだけのメリットがあるのかどうかを判断基準にするのです。
メリットとは何か。。。。
それは、自分の店の経営にとって少しでも役に立つことがあるかどうかです。
つまり、店の収益の増加につながることがあるかどうかなのです。
「相互扶助」や「仲間意識」あるいは「親睦」だけでは引き留めることができないのが現実です。
4 組合を維持する二つの方法
組合を維持してゆくにはそれなりの会員数を確保していなければなりません。
そのためには、
○組合員の離脱を防ぐこと
○新規組合員の確保
の二つが必要です。
単なる仲間意識だけでは組合に留まってもらうことが難しい時代になっています。
組合員が「組合に入っていて良かった」と思ってもらえるようなことを組合がやらなければなりません。
また、未加入の同業者の方に「こんな組合なら入ってみよう」と思ってもらえることを組合がやらなければなりません。
つまり、組合員に対し、確たるメリットを生み出さなければならないのです。
5 組合員のメリットを生み出す方法とは
(1) 組合員の悩みを聞いてその解決のために動く
組合の組織が弱体化すると人員、資金が不足し、組合員のメリットを生み出せるような事業を起こすことができなくなります。
組合を維持してゆくだけで四苦八苦です。
資金と人員が不足している組合が組合員のために先ずできることとして
組合員の悩みを聞いてその解決のために動くことです。
組合員には様々な悩みがあります。
売上不振、後継者不足、資金不足等々
これらのことを店主は他人に打ち明けることはありません。
さらにまちの小売店などは概して情報不足です。
組合から情報を届けない限り自分の店にとっての有益な情報は得られません。
この頃では、国をはじめとして各自治体や商工会議所では、中小企業、小規模事業者向けに様々な支援策を打ち出しています。
また、後継者不足解消を図るための窓口を設けている自治体もあります。
組合は、行政、関連諸機関などから、これらの補助金、助成金、融資などの情報を集め、組合員とこれらを共有し、一緒に問題解決のために動くことです。
こうすることにより一つでも解決できれば、組合員にとっては組合に入っていた大きなメリットになります。
(2) 組合は組合員とともにできる事業を行う
組合は、組合員のメリットになるような事業を考え出します。
自治体や商工会議所などが打ち出す補助金事業で活用できるものにエントリーするのです。
例えば、組合単位で行う
◆プレミアム付き商品券発行事業があります。
参加する店舗を募り、消費者に対し1万円で1万2千円分の買い物ができるなどのプレミアム付きの商品券を発行します。
この商品券のプレミアム分は補助金でまかなうのです。
プレミアム付書運券発行事業については次のリンクで詳しく解説していますので、これをご覧ください。
また、
◆組合単位で行うネットショップ運営事業です。
組合が独自のネットショップを構築し、組合員とともに共同でネットショップを運営します。
組合の店舗では一押しの商品や店主こだわりの商品が一つや二つ必ずあります。
これらを独自に構築したネットショップに出品します。
こうすることにより、組合と組合員の間に一体感が生まれ、販促や新規顧客の獲得につながるかもしれません。
組合単位で行うネットショップ運営事業については、次のリンクで詳しく解説していますのでこちらをご覧ください。
さらに組合が主導して期間中に購入した方々にプレゼントを差し上げるフェアーやセールを行います。
景品代はこれも補助金を充当します。
組合は加盟店とともにこれらの事業を行うことにより、参加各店舗の売上が確実に上がるはずです。
これらの補助事業による補助金をうまく活用することにより組合員の店舗にとっては集客面や収益において大きなメリットが得られることになり、同時に組合員と組合との一体感が生まれます。
6 新規組合員獲得のために組合事業の成果をPRする
組合が加盟店舗とともに様々な事業を行い、ある程度の成果が得られれば、それを外に向けてPRします。
PRの方法として組合のホームページやSNSの活用です。
事業報告として事業の成果を外向けに発信するのです。
これが新規組合員の獲得に大いに役立つことになります。
やみくもに組合加入の勧誘を行っても成果は得られません。
勧誘チラシに組合事業の成果を謳うことにより心を動かされるまちの小売店が現れるかもしれません。
7 まとめ
組合の活性化のための方策は、まず、組合員の減少を食い止めることです。
それには、組合員が組合に加入していることのメリットを感じさせることが何より大切です。
そのために、組合員の悩みの解決のために組合が先頭に立って動くことと、事業を行いその成果を組合員に還元することです。
“仲良しクラブ”的な組合もそれなりに意義があるかもしれませんが、現在の商業環境の中では、まちの小売店の協同組合はそれだけでは維持していくのが難しい時代になっているのです。
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