スタンプラリーはデジタルで!/商店街のデジタル化・DX化の方法

地域の各店のスタンプを集めて一定数のスタンを集めると景品などがもらえる「スタンプラリー」はこれまで多くの商店街で行われ,子供からお年寄りまで大変人気のある取り組みとなっています。
スタンプラリーに参加した人たちにとって、
 ・自分自身でいろいろな店を回り、これまで知らなかった店を発見できる
 ・店の人や他のお客さんなどと新しい交流ができる
 ・ポイントがもらえてほしい景品がもらえる
などが人気の秘密になっています。

また、スタンプラリーを主催した商店街にとってはこれまで訪れたことがなかった人たちにも商店街やそこのお店を知ってもらえる絶好の機会となり、商店街にとって大きなPR効果をもたらしています。

その反面、スタンプラリーを実施しようとすれば、それなりの準備、費用、手間などの対応が必要になり、商店街の役員などにとって無視できない負担が生じているのも事実です。

これらをすこしでも和らげるために従来からの紙ベースに代わりデジタルを活用したスタンプラリーを行う商店街を多く見受けるようになりました。

ここでは、商店街ですぐ使えるデジタル技術を使ったスタンプラリーの方法などを紹介します。

1 デジタルスタンプラリーとは? 形式・種類など

デジタルスタンプラリーとは、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を使用してスタンプを獲得できるスタンプラリー のことを指します。

 現在行われている方法には次のようなものがあります。

(1) QRモードスタンプラリー

ラリースポットに掲示されたQRコードを、スマートフォンのカメラで読み取ると、スタンプが付与される仕組みです。
主催者側はスタンプラリー専用の機材等を用意する必要はなく、初期費用やランニングコストを抑えて運用することができます。
QRコードスタンプラリーにはいくつかの種類がありますが、代表的なものは次の三つです。

※以下は「株式会社PKBソリューション」の資料から引用させていただきます

①地点ごとQRモバイルスタンプラリー
地点ごとに異なるQRコードを読み取ってスタンプを取得するものです.

②QRモバイルスタンプラリー兼スタンプカード
複数の店舗をめぐるスタンプラリーをしつつ、近くのいつもの店舗に毎日通ってもスタンプを取れるようにスタンプカード機能を併用できるものです.

③GPSと組み合わせたQRモバイルスタンプラリー
QRコード読み取り後、GPSで位置認証を行い、現地でないとスタンプが取得できなくなるようにスタンプの不正取得を防ぐためのシステムです。]

(2) GPSモバイルスタンプラリー

スマートフォンのGPS機能を用いて、参加者がラリースポットに近づいたことを検知し、スタンプを付与する仕組みです。
参加者は該当スポットで専用のアプリを開き、画面上の地点とGPSの位置情報が一致すればスタンプを獲得することができます。なっているため
位置情報を利用する仕組みになっているため、現地に行かないとスタンプが獲得できないので、不正が起こりにくい点がメリットです。
ただし、地下や屋内など、GPSが圏外になる場所では正常に作動しないことがあります。

※以下は「株式会社PKBソリューション」の資料から引用させていただきます

(3)キーワードスタンプラリー

キーワードスタンプラリーとは、特定の地点でアプリにキーワードを入力したユーザーにスタンプを付与するサービスのことで、対象地点に掲示されている問題文にキーワードで回答したり、事前に主催者のSNS等で公開されているキーワードを入力したりなど、さまざまな形でキーワードを設置することができます。

(4)LINE公式アカウントで行うスタンンプラリー

LINE公式アカウントにはスタンプラリー機能はないので、 「Liny」の機能を使えば、LINE上でスタンプラリーの仕組みを提供することができます。
 「Liny」とは、LINE公式アカウントのサポートツールで、LINE公式アカウントと「Liny」を併用することで、LINE公式アカウントだけではできないスタンプラリーを行うことができます。

以下は※「Liny」からの資料から引用させていただきます。

商店街を訪れたユーザーはLINEでスタンプラリーを行う一般的な流れは次のようになります。

 ・商店街などのLINE公式アカウントに友だち追加をします。
 ・スタンプラリーの該当場所でQRコードを読み込みスタンプを貯めます。
 ・ スタンプが貯まったら、景品と交換したりプレゼントに応募します。
 ・抽選応募の場合は、後日当選の連絡をLINEで受け取ります。

スタンプラリーを主催した商店街においては、LINE公式アカウントへの登録者数が増加し、それがひいては商店街へのお客さんの増加につながり、多くの人々にお店を知ってもらえるなどの効果が生まれます。

2 デジタルスタンプラリーの始め方

商店街がデジタルスタンプラリーを行う場合、次の準備が必要です。

(1) 実施についての基本的なこと

事前に役員会などで次の項目について決めます。
 ・予算はどの程度用意できるか
 ・開催期間はいつごろがよいか
 ・見込める参加人数はどの程度か
 ・どのような方式にするか
 ・ラリースポットをどこにするか
 ・景品にどのようなものを用意できるか

また、ラリースポットとして店舗を候補にする場合は協力が得られるかなども決めておく必要があります。

(2)システムの構築

デジタルスタンプラリーの仕組みの構築は専門的な知識が必要なことから自前で最初から構築するには現実的ではなく、専門業者に委託するか、いくつかの機能をパッケージングしたシステムを使うのが無難と言えます。

よく知られているシステムとしては、
 ・SmartStamprally(スマートスタンプラリー)
「てくてくスタンプ」

などがあります。
また、LINE上でスタンプラリーの仕組みを使うことができる「Liny」も最近注目されています

3 デジタルスタンプラリーにかかる費用

デジタルスタンプラリーを開催にかかる費用としては、
 ・オリジナルスタンプデザインの制作
 ・利用する機能
 ・スタンプ取得の方法
 ・参加人数
 ・チェックポイントの個所数
などにより変わります。

また、スタンプラリー参加者のデータを後のマーケティングに活用すことを目的にオプションとして参加者の性別や年代などの属性をダウンロードできる機能を持たせることにより大きく変わることになります。

ここでは、先述の「てくてくスタンプ」SmartStamprally(スマートスタンプラリー)の料金を紹介します

「てくてくスタンプ」の利用料金

SmartStamprally(スマートスタンプラリー)の利用料金

これらの料金体系は、基本料金に利用月別料金が加算される仕組みになっており、さらにプランにより使える機能が増える体系になっているので、行おうとするスタンプラリーの規模や予算によって見積もりを摂ればいいでしょう。

4 デジタルスタンプラリーを行う上での注意点

商店街などがデジタルスタンプラリーを行う上で注意しなければならないこととして次のようなものが挙げられます。

無料で使えるタイプの場合の注意点
・運営会社のサポートが受けられない場合がある
・オプション機能がつけられない
・参加者数に制限がある場合がある
・イベントの種類や規模によってカスタマイズができる有料プランを利用した方がよい場合
 がある

QRコード読み取り型の場合の注意点
対象となる店舗などの地点にポスターなどでQRコードを掲示する場合は参加希望以外の第三者が不正にスタンプを取得する可能性がある
ただし、GPSを組み合わせることで現地での取得が必須になるため、不正防止に効果がある

◆GPSモバイルスタンプラリーの弱点
・電波の届きにくい場所ではGPSを正常に作動させることができない
・狭いエリア内に複数のスタンプ獲得地点がある場合、どのスタンプを獲得したいのかをGPSが
 正しく認識できなことがある

◆キーワード入力型デジタルスタンプラリーの注意点
・キーワードを入力する仕組みなので、選択肢型のクイズ等には向いていないので何らかの
 形で、キーワードを入力させる仕組みが必要
・キーワードがSNS等で拡散された場合、対象地点に行かずにスタンプを獲得されることがある

5 商店街にとってのデジタルスタンプラリーの効果とは

各商店街で行っている集客のための様々な催し中でのデジタルスタンプラリーを行うメリットは次のようなものが挙げられます。

◆新規の来街者が増える
スマホなどにより簡単に参加できることから、PRの方法によっては地域外の人たちの参加も得られ、一挙に商店街への来街者が増え商店街の各店を多くの人に知ってもらえることが期待できます。

◆商店街での回遊効果が生まれる
デジタルスタンプラリーでは参加者は多くのスタンプを得るために商店街の多くの店を回ろうとするため、自然に商店街での滞在時間が長くなることにより、商店街全体を見て回ってもらえます。

このようなことから商店街自体の認知度が向上し、それにつれて売り上げ増に結び付いてゆきます。

6 まとめ

商店街では集客のために様々なイベントなどを行っています。
その中でもスタンプラリーを催しているところは数多くあります。
いうまでもなく、スタンプラリーは、子供からお年寄りまで手軽に楽しめることが人気で商店街にとって一定の集客力をもたらしてくれています。
スタンプラリーは、新規の来街者が見込め、商店街の中を回遊してくれることによる商店街の認知度の向上、各店舗と商品のPRなどに大きな効果があります。

しかしながらこのイベントを行おうとすればそれ相応の手間と費用がかかり、その世話をする特に商店街の役員にとっては大きな負担になることも事実です。
そんな中で、これまでの紙にスタンプを押すやり方から、スマホなどのモバイル端末の急速な浸透により「デジタルスタンプラリー」の採用が急速に増えてきています。
デジタルスタンプラリーは、従来の紙ベースの方法をデジタル技術により一つの仕組みとして、パッケージングしたものが多く出ており、主催者側も参加者も手軽に楽しめるようになっています。
デジタルスタンプラリーの方法は大きく分けて、
 QRモードスタンプラリー
 GPSモバイルスタンプラリー
 キーワードスタンプラリー
 LINE公式アカウントで行うスタンンプラリー
があります。

いずれも主催者側はそれぞれの制作会社などと月単位による利用契約により実施するもので、スタンプラリー参加者はスマホなどのモバイル端末からチェックポイントなどにアクセスして参加するもので、従来の紙ベースの物に比べると手軽さにおいてはこれに優るものはありません。
しかしながら、それぞれの方式においてスタンプラリー地点に行かなくてもスタンプを取得できるなどの不正ができる問題なども指摘されていることと、ラリーの規模などにより利用料金に相当幅があることもあるので、主催者側としてもこのあたりについて十分検討しておくことが大切です。