商店街の看板の付け替えには様々な制約がある。

ある商店街が古くなった看板の設置替えを行うことになりました。
古くなった看板を撤去し、新しい看板を設置するのです。
現状の看板は支柱式で歩車道の区分のない車道の官民境界にあります。
これを撤去して、全く新しいものに建て替えるのです。
専門業者に看板のデザインを決めてもらい、見積もりをしてもらいました。
施工費も予算の範囲内であったので建て替えることにしました。

ところが、いざ施工段階になり、行政などの関係各所との協議を進めているうちに、看板のデザイン、大きさなどに様々な制約を受けることが分かり、一時頓挫しています。

公道上の看板の設置撤去に関する手続きは、
 ①屋外広告物及び景観に関する規制に対する許可申請
 ②道路占用許可申請
 ③道路使用許可申請

などがあります。

看板の設置にどのような制約と手続きが必要なのかを簡単にまとめました。

1 屋外広告物、景観に関する規制に対する許可申請

看板の設計を行う前に、各自治体の屋外広告物、景観に関する許可申請や相談窓口に行き規制の内容を聞き、これに合致する看板の制作を行います。

各自治体の条例により、設置地区ごとに

 ①看板類の大きさ
 ②設置地区
 ③看板の色

などが細かく規制されています。
看板の設計を行う前に行政の担当窓口に行き規制の内容を調べる必要があります。

看板の設計が終われば行政に屋外広告物、景観に関する規制に対する許可申請書を提出し、許可を受けなければなりません。

2 道路占用許可申請

看板を公道上に設置する場合は市町村の道路専用許可が必要です。

看板を設置する管轄の市町村の土木事務所などの道路専用担当窓口に行き、設置場所、高さ、看板の大きさなどについての指導を受けます。

商店街の看板については、設置場所が歩道と車道により設置条件が変わるようですが、原則として道路標識にの設置基準に基づいた占用指導になるようです。

一例として次のような許可条件が示されました。

   
  ①設置場所  官民境界の車道
  ②看板の大きさ 横0.6m 縦1.2m
  ③看板の下端から4.5m以上の間隔が必要

また、物によっては、強度計算など道路構造物としての所定の安全性を証する資料を求められる場合もあります。

3 道路許可申請

看板の設置工事は、公道上を一定期間占用し、一般交通や歩行者の通行に一時的な障害を与える事になることから、所轄の警察署からの道路の使用許可を得る必要があります。

道路使用許可申請には次の書類等を準備します。

 ①工事期間
 ②工事実施時間帯
 ③工事中の道路占用形態
 ④臨時標識
 ⑤交通誘導員の配置計画

所轄の警察署では、道路許可申請に基づき、一定の条件を付けて許可証を発行します。
設置する地域や場所によっては、片側通行の確保、夜間施工の実施など、交通の状況に応じた条件を付けた許可証が発行されます。

4 まとめ

商店街の看板のみならず、お店の看板などを新設あるいは設置替えを行うについては、施主側のの思惑通りにはなかなかいきません。
いくら斬新なデザインにしたといといっても、たとえ個人の店の看板であっても都市によっては景観上の規制により様々な制約を受けることになります。
また、公道上に建てる場合は、道路専用許可の条件に合致した大きさや構造上のものでなければなりません。

勢い込んで看板製作専門業者に頼み、今風の斬新な看板を作ろうとしても様々な制約があることを知っておく必要があります。

先ず、専門業者に見積もりを依頼する前に、看板の建てる地区、場所に対してどのような制約があるのかを把握しておくことが大切です。