インバウンドが消えてこれからの店舗経営はどうするか!!

※本稿は2021年7月時点のものです

コロナ禍により観光都市京都が喘いでいます。

ある食肉卸専門業者が嘆いています。

久しぶりに注文があったホテルからの大口注文がついいましがたキャンセルになったとのこと。9月に予定されていたある高校の京都への修学旅行が学校内でコロナ感染者が出たため、中止になったとのこと。

食肉や生鮮魚介類を扱う小売店や卸売業者は、店売りだけではなく、旅館、ホテル、飲食店への卸で経営が成り立っているところは少なくありません。

昨年からのコロナ禍でこのような食料品の業務用卸を経営の柱にしている店は一様に危機に瀕しています。観光都市京都は特にこの傾向が顕著になっています。

店売りについても、昨年は1人10万円の給付金もあって売れ行きが好調だったようですが、最近はコロナ禍の終息が見通せなくなったことへの不安感からか、ここ最近は売れ行きが急激に落ちてきているようです。

さて、観光都市京都の来訪者の状況ですが、京都市産業観光局観光MICE推進室の「令和2年観光客の動向等に係る調査結果」によると、

2019年に比べて

 ・宿泊客数 前年度比59.7%減(13,166千人 → 5,310千人) 

 ・外国人宿泊客数 前年度比 88.2%減 (3,799千人 →  449千人)

 ・修学旅行生数  前年度比 77.6%減 ( 704千人 →  157千人)

となっています。

この数字はコロナウイルスが表面化する以前の2020年1月、2月を含んだものであり、これを除くともっと厳しいもになります。

京都市産業観光局観光MICE推進室の「令和2年観光客の動向等に係る調査結果」より

秋に向かってGotoの影響もあってか、多少の持ち直し傾向が見られるが、外国人の来訪はほぼゼロで、インバウンドは完全に消滅しました。また、例年安定していた修学旅行も目を覆いたくなるような大幅減になっています。

京都観光総合調査結果によると、コロナ前の2019年の観光客総数は5352万人で、観光消費額は1兆2367億円にのぼっており、4年連続で1兆円を超えています。これは、京都市民の年間消費支出の約55.4%(81.3万人分)に相当するといわれています。内訳は、日本人が9049億円、外国人が3318億円です。

今、コロナ禍により、この大半が消え、外国人の観光消費額がほぼゼロになりました。

インバウンドや国内観光客に狂奔していった店や簡易宿泊施設はこれからどうするのか。

その一方で、オーバーツーリズムと言われる観光公害も今ではほとんど見られず、市バスの混雑も路地の人通りも少なくなり静かな本来の京都が戻ってきています。

コロナ禍の今、以前のあまりの混雑や観光客のマナー違反に嫌気がさし、京都観光を控えていた国内の観光客を呼び戻すことを考えるときです。

インバウンドの特需に酔った商店街やお店はバブルが消えたあとどのように対応してゆけばよいのか。

いま来てくれているお客さんが手に取って、あるいは買ってくれるものを大切にする、足が遠のいていたかってのお得意さんにもう一度アプローチするなどインバウンドは特異な現象であったと思い、店舗経営の見直しを図る必要に迫られています。