小規模事業者持続化補助金の採択の決定は、有識者等により構成される審査委員会において、一定の審査基準に基づき審査され決定されます。
当補助金に応募する中小企業者が毎回1万人を超える中、採択される率は最近の数字では64%前後であるといわれています。
自治体の補助金事業への応募は、申請書を提出すれば、不備なところについては担当の職員からいろいろと修正や追加資料の指示があり、これらに対応すれば、よほどのことがない限り不採択ということにはなりませんが、この補助金は商工会や商工会議所の事前の審査においてOKであっても本番の審査では、採択の優先順位があるのか不採択がかなりの高率で発生しています。
小規模事業者持続化補助金の公募要領には、審査の観点として、基礎審査と書面審査の内容が公表されています。
ここでは、まちの小売店などが当補助金の<一般型>に応募した場合の公募要領における審査基準をもとに、申請書類作成時に留意しなければならない点などを探ってみました。
目次
1 基礎審査
公募要領には、
(1)必要な提出書類がすべて提出されていること
(2)補助対象者、補助対象事業、補助率等、補助対象経費、の要件及び記載内容に合致すること
(3)補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
(4)小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取り組みであること
としています。
提出する前に公募要領をもう一度確認します。
この基礎審査において、不備や間違いがあると、この時点で即失格になります。
確認事項として、
(1)について
・提出書類に漏れがないか
・記入必要箇所に未記入の箇所がないか
・記入間違いがないか
を確認します。
(2)について
・常時使用する従業員の数 5人以下の事業所等が補助対象者
・補助対象事業は、次のキーワードが組み込まれていること
策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等のための取組であること
あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化のための取組であること。
・国や他の行政の補助を受けている同一の事業でないこと
・本事業終了後概ね1年以内に売上の向上など成果が見込まれる事業であること
・補助対象経費は、公募要領に記載されている以外の経費を計上していないこと
(3)(4)について
経営計画と補助事業計画の内容が審査の対象になります。
・経営計画
自店の置かれている現状に対する強みとそれを生かすための今後の経営方針等の目標を定め
た具体的なプランとする
・補助事業計画
実施する事業の内容とそれによる効果を具体的な計画
2 書面審査
書面審査は、経営計画書、補助事業計画書について行われ、別に定めている加点審査を行い、総合点の高い順に採択されることになります。
公募要領によると以下の項目について審査が行われます。
経営計画書、補助事業計画書には下記について的確に書き込んでゆく必要があります。
(1)自社の経営状況分析の妥当性
(2)経営方針・目標と今後のプランの適切性
(3)補助事業計画の有効性
(4)積算の透明・適切性
(1)について
・自分の店の現在の経営状況を的確に把握しているか
・現在、経営上どんな課題があるか
・自店の強みは何か
(2)について
・経営方針・目標と今後のプランについては、自店の強みを踏まえて、積極的な方向性を
打ち出す。
・自店が対象とする市場の特性を把握したうえでのプランとする。
(3)について
・実現可能な具体的な事業計画でなければならない。
・販路開拓を目的とし、経営計画に掲げた方針、目標を達成するために有効なものでなければ
ならない。
・補助事業計画に創意工夫などの特徴を持たせる。
・補助事業計画に可能な限り、IT活用を盛り込む。
(4)について
・補助対象事業に必要なものを積み上げる。
・経費の積算には見積もりなど根拠を示す。
3 加点審査
審査時に加点される項目として、次のようなものがあり,これらを行うことにより審査時にはかなり有利になります。
(1)経営力向上計画の認定加点
「経営力向上計画」とは、 人材育成やコスト管理、設備投資などを行って自社の経営力を高めるために策定し実施する計画 のことです。
申請時には、各地域の経済産業局の認定書の写しを提出します。
(2)地域資源等活用加点
地域資源等を活用し良いモノ・サービスを提供し付加価値向上を図るため地域外への販売や新規事業の立ち上げを行うなどとされています。
近所に観光地や有名施設等がある商店街などがこれらとタイアップし、集客のための取組を行うなどがこれらに当たります。
申請時には、経営計画書、補助事業計画書にこれらのことを具体的に記載します。
(3)事業承継加点
基準日時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補のものが補助事業を中心になって行うとしている場合です。
申請時には、経営計画書にこのことを記載します。
(4)電子申請加点
申請を「補助金申請システム(名称:J グランツ)」を用いて電子申請を行った場合です。
3 まとめ
小規模事業者持続化補助金の審査は、そう難しいものではなく、申請者が公募要領などに沿って記入していけば自然に作成できます。
ただ、本補助金の内容は小規模事業者が日常必要とする項目が対象になっていることから、相当数の類似の申請がされることになり、通り一遍の申請内容ではなかなか採択されないということになります。
審査の主な観点として、
●本補助事業の目的に合った事業であるか
●成果が見込める事業であるか
●事業者に事業遂行能力があるか
などになります。
特に、経営計画書、補助事業計画書において、自店を取り巻く商業環境を的確に把握し、自店の現状と照らし合わせた分析を行った上での販路拡大につながる取組などについて明確に示す必要があります。
さらに、加点項目についても、事前にしっかりと対応してしておけば、ひとつ抜け出せるかもわかりません。
いずれにしても本補助金は同類事業者との競争になることから、地元の商工会や商工会議所と連携しながらアドバイスを取り入れながら申請書を作成することになります。
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